オルトレマーレの星ひとつ
▼24
逃げて、逃げて、逃げ続けて。
もう何日経ったのかもわからないが、ひたすらに走り続け、気づけばどこかの路地裏。ろくに飲み食いしていない上に全く休まない状態で体を動かし続けたので、体の色々なところが悲鳴を上げている。
そこらの露店でかっぱらった水を喉に流し込んだ。食べ物なんて大層なものはないので、少しでも体を休めるために路地裏の壁へと体を預ける。
「骸様…」
千種の一言で、一気に場の空気が暗くなった。今頃骸くんは逃げ切れているのだろうか、それとも…
そこまで考えた時
「城島犬、柿本千種、辻井昴だな」
そう、声を掛けられた。
「っ!?」
立ち上がり声のした方をむけば1人の男の姿。スーツを着たその男の雰囲気は、路地裏にはそぐわないものだった。
「だれだぴょん!」
「そう構えるな。俺は沢田家光、ボンゴレ門外顧問だ」
思わずゲ、と声が漏れた。
ボンゴレ、沢田
ここまでこれば脳内に1人の人物が浮かび上がるわけで。
沢田綱吉…と呟けば、男____家光がカラリと笑った。
「この前はうちの倅が世話になったらしいな」
ああ、やっぱり沢田綱吉の父親か。
まさか私達を復讐者に引き渡そうとでもいうのかとおもったが、どうやら違うらしい。
「六道骸からの願いでな。
お前達を保護しに来た」
「骸くんが?!」
どうして、骸くんとボンゴレの組織が。
そんな私の考えを汲み取ったのか、家光は尚口を開く。
「六道骸は今復讐者の牢獄の中でな。
実体はなく、代理を通してだがお前達の保護と引き換えに彼にはボンゴレの霧の守護者になってもらった。」
「なっ…!」
「ボンゴレの?!」
「やっぱり…捕まったんだ…」
ギリ、と歯をくいしばる。
「代理の霧の守護者はもう日本にいる。お前達にも日本に向かってもらうぞ」
骸くんの、代理。
どんな奴だと日本に向かえばそれは掴めば折れてしまいそうな女の子で。
クローム、と名乗った彼女は確かに骸くんと繋がっていて、私達は彼女と生きることを決意した。
そしてクロームに渡されたハーフボンゴレリング。
こうして、私達とボンゴレの間に繋がりができた。
…ボンゴレリングの争奪戦。
それはもう、目前に