オルトレマーレの星ひとつ | ナノ
オルトレマーレの星ひとつ
▼21

「みんなに…嫌われるのが、怖かった…!」

ぽたぽたと目から涙が溢れる。
しゃくりあげながら、私は言葉を続けた。

「隠してるのは、嫌だったけど…みんなに嫌われるのはもっと、嫌だった…」

ああ、なんて自分勝手。自分の事ながら呆れてしまう。
城島、柿本、骸氏。
彼らをそう呼ぶのは、私なりの線引きだった。これ以上踏み込んだら、何も隠せなくなる気がした。私の過去が、バレてしまうように思えた。

…でも、もう必要ないんだ。

涙を制服の袖で拭いながら笑顔を作る。

「ありがと…

犬、千種、骸くん」

もう何も、隠す事はない。彼らは全部受け止めてくれる。そう思うと名前がすっと呼べた。

「おや」

「なんか昴に名前呼ばれると変な感じするぴょん…!」

「犬…」

「…っ!だいすき!」

両手を広げて抱きつきに行く。
しっかりと受け止めてくれたので、そのまま3人まとめて抱き締めた。

「なっ、昴!離すぴょん!」

「おや、じゃあ犬だけ見てますか?」

「そういうわけじゃ…ないれすけど…!」

「昴…苦しい」

それぞれ帰ってくる彼らの言葉に、笑みが漏れた。
冷たく暗い監獄だけど、人生で一番の幸せを感じた時だった
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