オルトレマーレの星ひとつ
▼15
さあトドメを刺そうかという時に、バサバサと翼を動かす音が聞こえる。
上を見上げれば、それはバーズの鳥だった。
「ヤラレタ!ヤラレタ!」
獄寺をバカにしてるのか。なるほどさすがバーズが飼っているだけのことはある。
だが、その後に口ずさんだのは、その鳥が知っているはずのない歌
「緑たなびく並盛のー
大なく小なく並がいいー」
確かこれは、並盛中の校歌ではなかったか。
どこで覚えたんだと思っている間に、獄寺がへへ…と口角を上げるとダイナマイトを壁へと投げた
「っひゃー!どこうってんのー?」
城島はバカにするが、なんとなく、嫌な予感がする。何かに狙われているようなぞわりとした感覚が背筋を伝った
「へへっ…うちのダッセー校歌に愛着持ってんのは…おめーくらいだぜ…」
「「「!」」」
ガラガラと崩れ落ちる壁の向こうにいたのは
「んあ?こいつ…」
「並盛中学風紀委員長…
雲雀恭弥」
「骸氏にやられてボロボロだったのに…」
まだ立ち上がる気力があるとは驚いた。死んでもおかしくはない状況だったのに
「ヒャハハハ!!もしかしてこの死に損ないが助っ人か?!」
ケラケラと笑う城島。だが雲雀恭弥のその目は鋭くこちらを睨みつけており、息を呑んだ
「自分で出れたけど、まぁいいや」
ゆっくりとこちらへ歩いてくる雲雀。
獄寺がそれに笑みを漏らすのは、彼の力を信頼しきっているからなのか。
「その3匹は、僕にくれるの?」
ボロボロの姿でトンファーを構えるその肩に、バーズの鳥が乗った。
「死に損ないが何寝ぼけてんだ?こいつは俺がやる」
「…言うと思った」
「…気をつけなよ、城島。こいつ、危ない」
「大丈夫だって、昴。徹底的にやっからさ。」
そう言ってチャンネルを付け替えた城島。百獣の王、ライオンチャンネル。
王と言うだけあって、私の知っている中では最強のチャンネルだ。
「ワオ、小犬かい?」
「うるへーアヒルめ!」
対峙した次の瞬間、城島は雲雀に吹っ飛ばされていた。
「「城島!/犬!」」
私と柿本の声が重なる。
ヨロヨロとこちらに向かってきた雲雀は、その目をこちらに向けた。
「次は君たちを…
咬み殺す」
ああ、これはちょっと、やばいかもしれない