オルトレマーレの星ひとつ
▼14
ゆらゆらと揺れる感覚に目を開けると、黒曜の制服が目に飛び込む。
それが城島の背中だと理解するのに数十秒かかった。
「城島…?」
「あ、やっと起きたぴょん。」
全然起きねーんらもん、と続ける。周りをぐるりと見渡せば、そこは建物の一階。どこに向かっているのかと聞けば、柿本の所だと返された。おぶさられていたのに気づき、背中から降りる。
「ボンゴレは?」
「もうこの中に入ってると思うぴょん。M.Mも、バーズも、ジジとヂヂも、ランチアも、みんなやられた」
「ランチアも…」
やっぱりというかなんというか。嫌な予感は現実になってしまった。
結局援軍は全滅か。
ドォンッ
「「?!」」
ふと聞こえた爆発音。慌てて音のする方へ急ぐと、壁を挟んで隣の通路から声がした。
「しぶてーんだったな。こいつで果てな」
ボンゴレの、獄寺隼人。きっと柿本と対峙しているのだろう…が
「がっ…!うがあぁっ!」
うめき声と共にこちらの壁にもたれかかる音。怪我でもしているのだろうか。
ニヤリ、城島が口角を上げ、壁を突き破った。
「スキアリぴょん」
そのまま獄寺隼人の胸に爪を突き立てる。壁越しでその場所を当てるとはさすが城島というかなんというか。
舞い散る砂埃にけほっと咳を零しながら、大きく開いた壁の穴を通り柿本の所へ移動する。
「2人とも無事だったの?」
「死むかと思ったけどね」
「あいつのダイナマイトのせいで火傷半端ないけど、まあ生きてる」
立つのがやっとな獄寺。城島がべっと舌を出した
「ヒャハハハ、ザマーみろ。バーカ」
それすらも聞こえていなさそうだ。ヨロヨロとおぼつかない足元で壁にもたれかかろうとしたが、そこはカーテンで隠れた階段。足元を滑らせた獄寺は階段の舌へと落ちていった。
「だっせ」
思わずボソッと口にしたのは悪くないと思う。