オルトレマーレの星ひとつ
▼13
「…アホでしょ」
「なっ、誰だ!」
気絶したふりしたままでいればいいものを、城島は彼らを挑発して石を頭に投げられてた。アホなのは元々知ってたけど、ここまでとは。
「こんにちわ、十代目諸君」
「なっ、もう伝わって…!
十代目、俺の後ろに!」
ヤンキーみたいな奴が先程の蜂蜜色の子を自分の後ろに隠す。驚いた。あんなにオドオドしている彼だったのか。
「あ、君が十代目なんだ。カマかけてみたんだけど…」
「ええっ?!」
「まだ柿本おきてないしねー。まあ来てるだろうなーと思ったら、ドンピシャ。超ハッピー」
なんて、ケラケラ笑いながら城島の真似をする。
「十代目には近づかせねぇ!」
その声と共に、目の前にダイナマイト。まあこれだけよくも投げられたものだ。というかよく見れば、彼は柿本の獲物だった獄寺隼人ではないか。
…そんなことはどうでもいいか。
「甘いなー」
ブンッと鎖鎌を振れば真っ二つになるダイナマイト。火薬がなくちゃ爆発はしないからね。
「っ!2倍ボム!」
先程の2倍、どこもかしこもダイナマイトだらけだ
「これは…まずい、かも?」
先程と同じように鎖鎌を振るが、なにぶん柿本のヨーヨーと比べると私の武器はリーチが短い。
案の定半分ほどダイナマイトは宙へ残る。
捨て身覚悟でその中を走り、獄寺隼人に向かって鎖鎌を振った。
ダイナマイトの爆発と、私の振った鎖鎌が彼の腕を抉ったのはほぼ同時だっただろう。
「げほっ…おえ、グロテスク…」
柿本と同じように真っ黒焦げの血まみれ。
ぺっと口の中に溜まった地を吐き出し獄寺隼人の方を見れば、彼も腕を手で覆い地に膝をつけた。
全身血まみれの私と腕一本だけの負傷の獄寺隼人。どちらが優勢かなんていうまでもないだろう。
更には彼の後ろにはまだ3人。
結構無謀なチャレンジをしてしまったのかもしれないが、ここで撤退すれば骸氏の場所を教えるようなものだ。
鎖鎌をもう一度構えなおし、今度はボンゴレ十代目を狙う。
生憎身体能力には自信があるのだ。
彼らの元へと向かって走り、ぐっと地を蹴る。
驚いた顔の獄寺隼人を飛び越え、十代目くんの目の前に降りた。
ヒュンッ
鎖鎌が音を立てて彼の足を狙う…が。
「させねーよ」
金属音がして、弾かれた。
そこにあったのはバット…ではなく刀。
山本武の変形刀か。と思った時にはそいつが目の前にあった。
「いっ…」
峰の部分で肩を思いっきり殴られた。骨に響いた打撃に、思わず顔を顰める。斬られているんじゃなくてよかった。これ以上血を流すのはマズイ。
もう一度、と鎖鎌を構えようとした瞬間、米神に刀の柄が当たった。
これじゃ敗因は城島と同じじゃないかと思いつつ、私の体は地面へと倒れた。