オルトレマーレの星ひとつ
▼09
「あれ、柿本」
「昴…」
廊下の向こうからこちらへと向かってくる柿本。どこへ行くのかと尋ねれば、3位狩りだと彼は答えた。
「あー…ゴクデラハヤト…だっけ?頑張ってねー」
「めんどい…そろそろ加減、できないかも…」
「言いたいことはわかる」
ひらりと手を振り、柿本を見送る。そのまま一階分降りると、ガシャンガランと音が聞こえた。
ここだろうか。
「城島、いる?」
「ん?昴じゃん。お前もボーリングするんだぴょん?」
「は?ボーリング?」
ちらりと城島の後ろを見れば、確かにここはボーリング場。どこから集めてきたのかご丁寧にピンが並べてある。間に時々混じるペットボトルは、ピンの変わりだろうか。
「俺が用意したんらぴょん!」
胸を張って言う城島に、こいつ暇だなぁと思いつつ。
でも確かにすることもないので参加させてもらうことにした。
「負けたらアイアンクローね」
「げっ…ゼッテー負けられねぇ!」
そんなこんなで約20分。私が1回、城島が3回アイアンクローを食らい、4回ほど引き分けになったところで骸氏がボーリング場へ入ってきた。
「おや、ボーリングですか。」
「骸氏もする?」
「いえ、やめておきますよ」
断られてしまった。まあでもこな三人でボーリングなんてしたら骸氏の一人勝ちになるだろうからこれでいいのかもしれない。
「骸さーん」
バッキャーンッ
ピンを倒しながら城島が口を開く。
あぁ、ストライク。
「んで、どーだったんれすかー?
並中のボスの…アヒルだっけ?スズメだっけ?」
「ヒバリだよ。雲雀恭弥」
「そーそー、そいつ」
「ハズレでしたよ。歯をとるまで横になってもらってます。」
「っひゃー、生きてんのかなー?そいつ」
「虫の息だったよ。ボッコボコ。」
「うっわ、骸さんえげつねーぴょん」
ケラケラと笑う城島に、骸氏はクフフと笑みを漏らした。
「おや、千種は?」
「柿ピーは3位狩りにまいりました。」
「めんどい、だってさ。加減できるかわかんないって」
城島の言葉に私が付け足すと、骸氏は手組みそこに顎を乗せた。
「その気持ちもわかります。なかなか当たりが出ないものね」
ほんと、さっさと出てこないかな。
ガランと私もボールを放れば、ピンは全て宙を舞った。うん、ストライク