オルトレマーレの星ひとつ
▼08
「たーだいまー…って、うわぁ…」
若干凹んでいる扉を開ければあらびっくり。
黒曜中の制服を着た生徒があちこちに倒れている。きっと骸氏がマインドコントロールで戦わせたのだろうが、その相手は誰だろうか。ボンゴレが攻め込んできたのかと思ったが、大人数が入った形跡がないのだ。ぱっと見1人、多くても3人といったところだろう。
彼が負けることはないだろうが…
「骸氏ー!生きてるー?負けてないー?」
ボロボロの廊下で倒れている黒曜中の生徒を踏みつけながら先へ進む。グエッという声が聞こえたのでまだ生きてるらしい。
「クフフ、失礼ですね、昴。」
「あ、生きてた」
いつも通りソファーに座りながら笑う骸氏。怪我ひとつないんだがまだ敵はここへと来ていないんだろうか。
「おや、もうすでに倒しましたよ?」
「えっ、はや…じゃないなんでわかったんだ」
「クフフフ、顔に出てますよ。ほら、あそこです」
骸氏の目線の先を見れば、倒れている並盛の制服を着た男。よくよく覗き込めばその顔には見覚えがあった。
「えーと…雲雀…なんとか…」
「雲雀恭弥です。」
「ああそうそう。1位の奴」
並盛中喧嘩の強さランキング1位、雲雀恭弥。ボコボコにされたそいつは生きているのか不思議になるくらいには静かだった。
「まだ3位と2位狩りが済んでませんからね。歯を抜くのは後です。彼にはそれまで待っていて貰います。」
「ふーん…」
雲雀恭弥の元を離れふと視線を逸らすと、そこには本を抱えて座る小さな姿。
ランキングフゥ太、と声をかけようとしてやめる。これは名前じゃなかったな
「フゥ太」
そう口にすれば、その肩がビクッと揺れた。
まだ完全に骸氏に支配されたわけではないのだろうか。と言っても、大部分を乗っ取られていることに変わりはないのだが。
とりあえずここで野垂れ死されても困るので、ペットボトルを口に突っ込み水を飲ませる。食べ物はきっと受け付けないだろう。
それからぽん、と何気なく頭を撫でた。別に意味はない。なんとなくだ。
「私、城島のところ行ってくるね」
骸氏にそう言い、私は部屋を出た。あぁ、この廊下に倒れてる男達もどうにかしないとな