けたけたけた
「荒神ってどの荒神ですっけえ」
涅槃はおどけたように返す。
憂はつまらなさげに髪をいじっている。
真ん中で分けたぞろりと長い黒髪は鬱陶しい印象を与える。
「雷蔵?だったかな」
ぼんやりとした声がそう伝える。
涅槃はそれを聞くと、どうでもよさげに笑った。
悟が後ろで不満げな顔をしているのが対照的でなんだかおかしい。
憂は笑うことこそ無かったが、内心では笑っていた。
「なぁんだぁ……じゃあいいですよぅ」
けたけたと普段とは違う笑い声をあげる涅槃の感情は推し量れない。
普段の涅槃ならばえへへ、だのふふふ、だの女性めいた笑いばかりだからだ。
「何か変だよー涅槃くん」
喜は違和感に気付いて尋ねる。
「……いやぁ、そこに面白い人達が居るんですよねぇ、気づいてなかったんですぅ?」
涅槃はまたしてもけらけらと笑う。
悟が目を凝らすと、見覚えのある極彩色が目に入った。
しかし、すぐに目を反らす。
悟は面倒事は避けたい質の人間であった。


続く
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