火を防ぐには扉
楽の持つ電気棒のバッテリーはどうやら切れてしまったらしい。
カチカチとボタンを押してみるが、レスポンスがない。
少し嫌そうに顔をしかめるが、むしろ余計な要素が排除されて、武器本来の性能を存分に発揮できるような気もした。
赤髪、黒服の女は静かにたたずんでいる。
かかってこいとでも言いたげに、青色の三白眼で此方をみてくる。
楽は周囲の地形を思い出す。
防火扉、あれでこの厄介な女の行く手を塞ごう。
そう思考が定まればあとは早い。
楽はその自慢の脚力をもってして、素早く走り出す。
迎撃しようと構えを固定していた女は反応が遅れ、たたらを踏む。
幾度めかの金属音が鳴り響き、女の重い靴が廊下を踏みしめているのがわかる。
硝子片と、瓦礫の欠片が散らばったこの環境で走るのに、彼女の安全靴ほど頼もしい物もほかにないだろう。
楽ははき慣れたスリッパで素早く走っていく。
成人男性の平均身長を少し上回る楽と、小柄な女とでは根本的な歩幅が違う。
楽には歩幅というアドバンテージがあり、それを充分にいかせる能力もあった。
階段の方に走り込み、防火扉をきっちりと閉じる。
女は急な出来事にも慌てずに、防火扉にぶつからずに停止する。
楽は、その音を確認し、階段を登っていった。

続く
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