旧きから新たへ
「植物ですか。所内、数人同じ形態、存在しましたね」
荒神古式は不思議と落ち着いていた。
機械的な動きで振り返り、目前の男に目を向ける。
状況を打破し、闖入者を排除するように動くのではなく、彼女はあくまでも情報の収集に重きを置いた。
赤い髪、片方の目は隠れている。
所内にも着物の人間は数人居るが、ほとんどが白衣であるため、目新しさは十分である。
「名前、知ってますか。でも名乗ります。本職、荒神古式です。独立行政法人永代特区研究機構、地質学研究所所属の研究員です」
ながったらしい自己紹介を特に噛むこともなく滑らかに発音する。
カメラのピントを調整するような音が響き、赤と黄色がくっきりとわかれた奇妙な瞳孔が男の姿を捉える。
確か数日前に見たことがある。
あの時も経費の嵩む監視カメラの破壊をされただろうか。
視界には白い雪のようなものがちらつく。
それでも脳の処理能力は落ちることなく、高速で視界の情報を整理して行く。
カメラからの映像送信は構造的に止まっていないだろうが、テレビは映像表示に支障を来しているらしい。
植物の入り込みを効率よく取り除くには酸で焼き切るのが最良策だろうか。
それに必要な金額まで思考が及んだところで、古式は再び男に意識を戻す。
「ところで、本職に何かご用で?」
作り物然とした表情で微笑む。
ギィ、と金属と金属が軋む音が白い部屋に微かに響く。


続く
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