φの明鏡止水
食堂にたどり着いた悟は耳をすませていた。
こういった雑踏のなかにこそ重大な情報が紛れていることが多い。
第六感に特化した悟にとってはこの雑音の中から勘でなにかを探り当てることはそうそう難しいことではない。
先程頼んだパンケーキを適当にフォークで千切って口に運ぶ。
甘い、やはり思考の前には糖分が一番効く。
三枚ほどのパンケーキは明らかに朝食向けだが、それについては構うことはない。
ふと、周囲からなんとなく、気になる言葉を聞いた気がした。
パンケーキをのせていた皿を食堂に返し、悟はふらふらと目的の声を探る。
「あ、居た」
少し離れているが、あの男には見覚えがある。
理化学研究所の荒神真佐紀、だっただろうか?
記憶がやや曖昧だが、話しかけることにする。
万が一間違っていてもなんとかなるだろう。
「真佐紀さーん」
ふっと、相手が振り返った。


続く
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