女子と噂話

「ロニーに聞いてみたんだけど、アルマ(名前)がときどきライナーと寝てるの本当だって!」
「しかもそのとき、目隠しとか言ってたらしいよ」
「ライナーって、マニアックなプレイしそうだもん。目隠しして放置プレイとか」
「あー、わかる! でもライナーって案外へたれてるし、アルマ(名前)に振り回されてる感じがしない?」
「じゃあ、ライナーが目隠しされてるの?」
「やっだー、ウケる!」
「でも……でもさ、ベルトルトがライナーに目隠ししてたら?」
「……ああ……」
「うん……ありえるよね」
「大人しそうな顔していっつもライナーにくっついて、夜になったら鬼畜って……」
「やっぱり、ベルトルトがライナーに片思いしてて、アルマ(名前)に横からかっさらわれたのよ」
「でも、ベルトルトってアルマ(名前)にも優しくない? ライナーほどじゃないけど、心配してるし」
「アルマ(名前)のことも好きか、心配してるふりか……夜にはアルマ(名前)のこともいじめてたりして」
「えー、でもアルマ(名前)がいつもの淡々とした感じでベルトルトやライナーを責めてるのもよくない? ここが気持いいのに、なんで嘘をつくのか理解に苦しむね、とか言って」
「わかる! してそう!」


「っていうのが、昨晩の女子の会話。聞きたいって言うから聞いてきたけど、これ本当に必要?」
「アニ……俺はホモで確定なのか?」
「違うの?」





ライナーの悩み

 骨格が違うと、思った。布団からでて伸びをするとき、男のように直線的ではない、なめらかな曲線ができる。太ももの肉付きが、女みたいだ。喉仏もない。
 だが手は荒れていてそれを気にかけているどころか気付いてもなさそうだったし、胸はないし、足もジャンと同じくらいのサイズだ。頭はいつでも毛先がはねたまま放置されている。女ならもうすこし身なりに気を遣うだろう。
 そこまで考えて、ハッと頭を振った。いくら女みたいだとはいえ、アルマ(名前)はちゃんとした男だ。ここは訓練兵が集まる場所で、身元もある程度調べてからの入隊となる。壁が壊されたおかげで曖昧になっている部分があるが、さすがに性別を間違えることはしない。
 アルマ(名前)はなにも言わず男に紛れ込んで生活しているし、戸籍上は男になっていると言っていたし、男で間違いないんだ。性器を切ったと言っていたから、そのせいで女のように見えるときがあるんだ。

 これはジャンも同じようで、たまにアルマ(名前)が女みたいに見えるとぼやいていた。だけどジャンはアルマ(名前)が女らしいというかオカマで片付けていたし、そうなった理由だって、俺たちに話してないだけでいろいろあるんだろうと言っていた。
 「あいつから言ってこなきゃ聞くこともねえし、そこまで興味もねえよ」とは、事あるごとにアルマ(名前)の世話をやいているジャンの言葉である。アルマ(名前)と一番仲のいいジャンにそう言われると、俺も頷くしかない。ジャンだって少しは気になってるだろうに、そんなことは言わないのがジャンらしかった。



「はあ……ベルトルト、俺はどうしたらいいんだろうな……」
「アルマ(名前)のこと?」
「……わかるか?」
「ああ。最近の噂は過激になっていて、僕の耳まで届くようになってるし」
「俺はホモなのか……? ずっと女が好きだと思ってたし、実際そうだった」
「まあ、人はいつどんなふうになるかわからないよ。僕は応援してるよ?」
「そう言いながらじりじり距離をあけるのをやめてくれ」

 
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