今日も今日とていい天気///

 私はもう、貴方と同じ場所に立つことは叶いませんが。

 こうして貴方のそばにいれるのならばこれでいいと心の底から思うのです。

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 するりと部屋に入り込む。

 彼に招待されるようになってからはすでに何度も訪れなれた部屋へ、私は今日もやってきた。
 ふと、入り込んだ先に二本の足が見えて思わず見上げると、こちらを驚いたように見る邸宅の主人がそこにいた。

「しょ、正太郎さん!?」

 うわぁ!と小さく悲鳴をあげたその人を真下から覗いてしまい、すらりとした足と足の間…… 密やかなその場所をはっきりと見てしまう。おや、と思った。思わずぱちりと大げさな瞬きをしまったのは…… まぁ、仕方がないことだろう、と開き直ることとする。
 すぐにそこは履き替えられた下着によって隠されてしまう。ぴったりと彼の臀部を覆った薄い布は質が良いのだろうと一目でわかった。

「み、見たか、正太郎さん……?」

 見えましたよ、オズワルドさん。

 この人から見ても、周りから見ても私は猫にしか見えないだろうに。彼は私を気にしているのか、顔を赤らめて恐る恐ると尋ねる。
 私の言葉が聞こえるわけではないから、私がなんて答えたかなんて彼には本当のところは伝わらないだろう。
 それでもオズワルドさんに私たち猫の言葉はそれとなく通じるのだから不思議な話だ。

 ベッドに腰掛けたオズワルドさんが「驚いたか?」と私に聞く。

「む、昔からこうなんだ。どう…しても、恥ずかしくてな。…その、正太郎さん、幻滅するか? 情けない話だがな」

 猫にそんなことを話す必要も聞く必要もないだろうに。それでもこの人は、座ったまま見上げている私をまるで人が相手かのように振る舞う。

「……正太郎さんに言っても、仕方がないか」

 オズワルドさんがふ、と笑う。自嘲するような、どこか苦々しい表情。

(そんなことないですよ。私はちゃんと聞いてますよ。オズワルドさん。)

 なんと言おうと、彼にはにゃあとしか聞こえないのだろうけれど。

「正太郎さん?」

 その膝の上に飛び乗る。きめの細やかな美しい素肌に傷をつけないように気をつけながら、オズワルドさんのお腹にぐりぐりと頭を押し付ける。
 幻滅なんかしませんよ、オズワルドさん。貴方がもし人ならざる姿になろうとも。あなたがどんな姿であろうとも、貴方がどんな人物であろうとも。僕は貴方を厭うことはありません。どんな不思議なことがあったって、僕は恐れません。だって。

 この世界にはたくさんの不思議とたくさんの恐怖があるということを僕は嫌という程知っているから。

「ふ、ふふっ!くすぐったいぞ正太郎さん。相変わらずもふもふで気持ちいいなぁ……」

 オズワルドさんが笑う。くすくすと笑うオズワルドさんの肩に手を乗せて、頬に擦り寄る。

「ありがとう、正太郎さん。もう平気だ」

 少し首を向けたオズワルドさんが私の口にちゅ、と口付ける。もう何回もこんな口づけをしたけれど、何度たっても慣れやしない。

「さて、と。今日はせっかくの休みでな。……どうだ、正太郎さん。私とデートにでも?」

 にこりと、今度こそきれいに微笑んでくれたオズワルドさんに私も返事をひとつ。

「にゃあ!」

 そりゃあもちろん、喜んで。


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ネタバレをなくしてみた

mae//tugi
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