少年少女のたそがれどき///

「ねぇねぇ知ってる?最近の噂……たばこ屋さんのある道あるでしょう?そうそう、商店街を右に曲がったところのあの通り。あそこをまっすぐ進んで、商店街をでてからぐるっと回ってもう一度たばこ屋さんから道に入るの。するとね…3件目の建物の隣に隙間ができてて、……その先に進んでいくと、小さい神社があるんだって!でもね、普段は何もないはずなんだって。それでね、この間見に行ったら、本当に何もなかったの!ビル?があるから、そんなところに神社なんてないしね」

きゃあきゃあと女子生徒の一人が得意げにそんな話をしている声が聞こえてきた。ふぅん、とか、きゃあ!とか。それぞれが思い思いに返事を返している中で、聞いていた男子の一人が「そんなのあるわけないだろー!」と威勢良くからかった。
「だったら見てきなさいよー!」などと、話が盛り上がるのもこれまでの流れからも明らかであった。そして話は進みに進み、息巻く男子たちとなおも焚きつける女子たちによりクラスはいつの間にやら二分されていた。

「なら、しょーめーしてやる!」
「言ったわね!じゃー、行ってきてもらおうじゃないの!」

言い争いながら、ばちばちと火花を散らす両陣営。男子の顔色が少しばかり悪いのは、何もこれから憂鬱な授業が待っているから、というわけではなさそうだ。
がら、と空気を読まず教室の扉が開いたのはその時だった。

「……何の騒ぎ?」
「…あぁ、おはよう」
「うん、おはよう。また配膳当番でもめてるの?」
「いや、今回のは…」

そんなに決まらないなら僕がやるからいいのに、とぼやいた彼は所在なさげに立ち尽くしている。
今しがた背負っているランドセルを下ろしたくてもおろせないのは、ちょうどクラスメートたちが話し込んでいる場所に彼の机があるからだ。

「噂話は聞いたか?」
「うん?うわさ?」
「あぁ、商店街に現れる神社のはなし」
「商店街の神社?」

こてん、と首をかしげてから少しの間。ぐるりと視界を回しながら商店街についてここしばらくで何か大層な噂があっただろうかと考え、そしてぴんときた。

「……あ、うん、知ってるよ。あのぼろぼろの神社でしょう?角のたばこ屋さんの通りにある、お社はあるけど中身は空っぽの…… ……ってあれ?どうしたの、みんなして。シレスさんまで、何でため息つくの?」

クラスの全員が少年……ミントのことを見ていた。何かおかしなことを言っただろうか、とその確認を込めて傍の少女、シレスを見る。
シレスがはぁ、と呆れをたっぷりと含んだため息を吐くと同時に予鈴がなった。

mae//tugi
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