※みんな戦国トリップしてた系
※黒田大ハッスル編




随分と楽しそうだった。




何も知らない雑兵の一人が心臓あたりを一突き。
その体は簡単に一度事切れた。
いい加減飽きたとばかりにつまらなさそうな表情が遠くからでも見えた。

一瞬喜んだ雑兵が次の瞬間には驚愕と恐怖に戦いた。

足元が泥沼に落ち込んでいくように、いつの間にか広がりを見せた影に飲み込まれていく。

その影は音もなく素早く周囲の地面を染め上げる。
中央はちょうど、今しがた殺された男だ。
ゆっくりと地面に伏せたその遺体から離れようと、兵がもがく。
しかし動こうと動くまいと、その体はずぶずぶと飲み込まれていく。


誰もが逃げようとしたとき、ひらりと視界の端に何かが写った。


やけに華やかな着物を着た人物がその中央へと駆けていった。
誰かが逃げろ、と叫んだ。

瞬き一つの間。
足元の影は半球をなし、その内部は見えなくなった。
だが、殆どのものはすでにそれが何かを知っていた。

すれすれのところで外へと飛び出せた人間もいたが…足だけ食われたようだ。
首のない馬も転がった。誰ともつかぬ手も。



緩やかに頂上からその影が溶けるように消えていく。



影が収束していく。
収束する先、中央には死んだはずの男が立っていた。
いつもよりずっと嬉しそうな笑顔で。


「あれは…」



いつもなら一面が黒に染まり終わるばかり。
何一つ残さず、そこ一帯がドス黒く染まるだけなのだ。
だが今日は違った。

風にひらひらと明るい羽織がはためいている。
直前に影に飛び込んでいったものと同じだ。


亡霊がその人物の手をとって、笑っていた。


いつものような陰鬱とした笑いではなくて。
なんというか、妙に安心しきったような、そんな。
無邪気とも言えるような、そんな笑い方で。











「あいたかったあいたかったあいたかったよ!随分と長いこと探していたんだ。他のにも手伝ってはもらっていたんだが、なかなかみつけられなくてね。今までどこにいたんだい?いや、なに、思ったより私は君のことを気に入ってたみたいだよ。自分でも気がつかなくてね。これだけ派手にやったらいつか気がついてくれるんじゃないかと思っていたんだよ。なに?そもそもこっちに来ていなかったらどうするつもりだったんだって?それはないだろう。私のお気に入りである君がこっちに来ているという確信はあったのだよ。どういうと言われるとなんとも言いがたいのだが、漠然と、いるというのは分かっていたのだよ。君がいなければそうだね、もうちょっと派手にやっていたかもしれないね。ところで前から思っていたんだが相変わらず君にはそういう着物がよく似合うじゃなか。だが本当に度胸があるね。死ぬかもとは思わなかったのかい?事実、他のは死んでるわけなんだが。いやいや、まさか!この私がこれを制御できないわけがないだろう。君のことを守るくらいどうってことはないさ。いやぁ、中々嬉しかったよ、飛び込んできてくれるなんてね!君には恨まれども良い感情を向けられることもないと知っているからね。命の危険も顧みず…あ、それとももしかして、少しは私のことを信用してくれているのかい?そんな顔をしないでくれ。これでも多少なりとは傷つくものなんだよ。本当だとも。」
以下略。


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嬉しすぎて普段より饒舌というレベルではないアホ。
そのうち手にぎったまま笑顔でくるくる回り出す。鳥肌。

黒田おじちゃんも割と神様やめはじめてる。

mae//tugi
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