※戦国(婆娑羅)パロ
※黒田もインしてた系
※某武将キャラまで出てくる始末



いると確信していたのに、いなかった。
ただそれだけのことが妙に心に残ってしまった。
こんな新天地に来てしまったのだからそうなってもおかしくはない。
思い返せば、逃げられる理由のほうが多いのだ。

それでもどこか、釈然としなかった。




「亡霊、卿は何を考えている」
広々とした部屋の上座に座りのんびりと宝剣の手入れをする男が、それはそれは黒い男にそう問いかけた。庭先をぼんやりと見ている男は気まぐれについっと指を動かし、庭先の椿へと黒い影を這わせては散らせて遊んでいた。「何も」と囁くような小さな声で彼は答えた。その様子に手入れの手を休めて、くつくつと笑った。

「言い方を変えようか。何を欲している」

その言葉にぴたりと黒は動きを止めた。遊んでいた影がするすると音も立てずに戻り、うねる。此方に来てからというもの、彼は幾分感情的になっているのだ。それに合わせて影もよく動くようになってしまったと、本人はため息をこぼす。それが足元からまたたく間に部屋を覆い尽くしても、上座の男は愉快愉快と気にも止めない。

「そう怒るな、亡霊。図星を突かれたからと慌てることでもないだろう?」
「……流石は欲望に忠実なだけあると感心してるだけだ」

敵意はないが無表情な影の主の感情を代弁しているそれを剣先で軽く撫でれば部屋をドス黒く染めていたそれが主の足元へとすっぽりと収まる。部屋のどこにも痕跡を残さないそれは、戦場で普段暴れているものと遜色ない。一度腹を好かせれば周囲の命は全て食い尽くされる、そういう代物。だがその食欲とも敵意ともつかないものが目の前で嫌な笑みを浮かべる男へと向けられたことは未だかつてない。

「感心?」
「己ばかりか他者の其れまで嗅ぎつける本能に。呆れてるとも言うだろうがね」

「君程となれば…面白い」と負けず劣らず、無表情だった黒い男も口角をあげた。ここに他の人間がいればすぐにでも帰りたくなるような、そんなおどろおどろしい空気が流れていた。

「それで、そんな卿は何を欲しているのかね」
「……玩具を、ね」

それも、とびきりのお気に入りを。

そう小さく掠れるような声で呟く男を見て、より一層笑を深める。目の前にいる亡霊は確かに、人ならざるものに違いない。だが、今偶然にも目にした姿はまるで。いや、まさしく。


「なるほど、亡霊だな」
「…何?」



救いを求めて死してなお彷徨う、無様な人間のようで。



「いいや、見つかったら教えてくれたまえ」
「…丁重に断らせていただこう」






現代風直訳超解:俺の嫁が見当たらない



「卿には世話になってるだろう?私も気が向いたら探しておこう」
「……いや、風魔くん貸してくれれば十分なんだけど」
「いやいや遠慮してくれるな」
「いや、遠慮じゃなくて拒否」
「それを遠慮というのだよ、なに、任せたまえ」
「断る」


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戦国時代にタイムスリップはタイムスリップでも、こいつらのタイムスリップ先って、なんちゃって戦国時代が精々だよな!みたいな。そんなノリがひどい。

mae//tugi
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