※なんやかんやで教会出禁になった後
※微妙に続いてる


「ほう、それで出入り禁止と?」
「…そう」

珍しくアレがおとなしく訪問をしてきたかと思えば、偶像がご執心な神父とその取り巻きから手痛いお言葉を頂戴したとぼそぼそと語りだした。相変わらずこれは不良品で、欠陥だらけで、口角が上がるのを抑えるにはあまりにも可哀想なほどだ。どういうわけか、これは間違いようもなく欠陥品だ。”同種”と捉えるにはあまりに拙い存在。あまりにその中身が高度だからか、それとも逆に幼いからかはわからないが俗に言う”感情”や”真意”というのを一切合切読み取ることができない欠陥品。だからこそ不良品のこれは私や愚息には遠く及ばない。しかし、それさえも理解しようとしないからか何度も何度もしつこくこれは人の家へやってきては私を殺そうと躍起になるのだ。

「神父さまにはもうほっといてって言われるし」
「シスターちゃんには出禁って言われるし」
「そもそも、そもそも、何を反省すればいいんだ?」

なぜそんなにも己が悩んでいるのかも。なぜ己が私を殺そうと躍起になっているかさえも。なぜしつこくあの神父を追い回すかも。何一つ理解できていないのを思えば、あぁ、これはなんと欠けていて、なんと哀れな人らしいことか。機械の癖にしては、人間よりもぐっと不足してはいるものの苦悩するだけのものは持ち合わせているようだ。これはなかなか、面白いことになった。目の前でたった一人のためにうんうんと唸っているのは、それはどうみてもどうあがいても、一人の人間のようにしか見えない。仮にも神が、堕ちたものだ。

「偶像、貴様も随分とそれらしくなったものだな」
「はぁ?黒ぽん人の話聞いてた?」
「聞いてるさ」
「だったら、ねぇ、私はどうすればいいんだい。
 私よりも長いこと人と交わって生きてただろう?
 私よりもぐっと人に近い存在だったろう?」
「…あぁ、そうだな」

顎に手をやり眉根を寄せてたままこちらをじっと見るその男が随分と滑稽で、こらえきれずに吹き出してしまった。怪訝そうにこちらを見つめてくる彼に一歩近づく。まだ分かっていないようだ。

「貴様も随分とらしくなった」
「さっきも聞いた。それってどういう」
「少しいいことを思いついてな」
「…黒田?」

私が素早く腕を横薙ぎに振れば手元のペーパーナイフも十分すぎる威力を発揮した。一瞬なにが起きたかも理解できていない男の長い長い髪を掴んで引き寄せれば、接続が切れた首より下の体がぐらりと倒れる。ゆるゆると私の足元の影のその形を変えてその粗大ゴミを覆っては飲み込んだ。ばりばりばきりばきりがしゃり。そういえばこれも最初に比べると随分と繊細ながら固く作られている。…まぁ、その程度だが。首だけでもその本体はまだ十分に機能しているらしく、こいつは先程から文句ばかりだ。やれやれ、まったく鬱陶しい。

「まだわからないか、イドル=デュー」
「何を?」

また直さないといけないのかと嫌そうな顔をしているのが、妙に笑えた。もう直す必要もないというのに。そうかそうか、まだわからないか。なら、

「わからないまま死ぬがいい。
 それがお前にはお似合いだ。」

至っていつも通り小奇麗な顔も砕く。その本体も逃げ出す前にとっぷりと黒い影で飲み込んだ。



明日はこの抜け殻だけ、件の教会に届けてあげよう。一体どんな反応をくれるのか、あぁ、今から楽しみではないか。





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同族()
五分五分とは幻だったのだレベルで死にまくり。そしてとうとう、まじ死にルート。
黒田的には自分より人として劣るはずのイドルが、いつの間にか自分と同等かそれ以上に人間らしい様相を呈してきたのが気に食わない。お前は一生私より下の存在で、一生なり損ないの人形でいろ、という本音。
そうじゃないと、いつまで経ってもなり損ないの自分が浮き彫りになって、虚しいから。

そんなおじさんのジェラシーに殺されるイドルが段々不憫ポジ扱いに!

mae//tugi
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