※ギャグ というかジョークネタ
※マスターざまぁ回


「シャットダウンしてたからいじっといたよ」
「がぅっ…」

ふざけるな、と言いたくても。
人型の時と違う声帯は声を発することができなかった。
思い切り目の前で笑う男を右手で殴れば、意図も簡単に吹き飛んだ。

「は、随分、とやんちゃ…だね」

ぼたぼたと血を流しながらも、嬉しそうに笑うその男に嫌気がした。
うっそりと完成品を見るその目に狂気を感じる。
なんだってこの男は機械がそんなに好きなのだろうか。気味が悪い。

「見てのっ、とおり。力加減を間違えたら大被害だ。」

いてて、肋骨折れたかも、とだらりと左腕をぶら下げたまま軽い口調でいう。
腹立たしくて踵をかえせば、うっかり尾がかすったようだ。
室内のあちこちを破壊しながら外へと飛び出す。
ここは山のほうで、あまり人もいない場所だ。よかった。

「ぐるる…」

声が出ない。これでは話しかけることもできないじゃないか。
強引に近くの機械に入り込み、スピーカーを動かす。

”が、がが”

ノイズを消し、声の代わりとするしかない。
血まみれながら男がその様子に歓喜の声を上げるのがわかった。
もう一度ぶん、と尾を振れば、確かな感覚。
壁に思い切り衝突する音が聞こえたが、まぁ、生きてるだろう。

”ど うすんだよこれ”
「げほ、ごはっ…ら、乱暴…すぎない、か、い…?」
”マスター これ どうすんだよ”

男…マスターの右足がやや不穏な方向に曲がってるようだが、こちらの恨みを考えれば生ぬるい仕打ちだろう。
しかし軽く叩いただけでこれでは力加減が難しそうだ。
試しに天井を力いっぱい尾で叩く。素晴らしい音を立てて、月がお目見えした。

「ちょっとイドルくん!?天井は…ってま、がっ…!」
”しば らく、しんで ろ”

重ったるい金属が連なる翼を広げる。
ぎゃりぎゃりと擦れる音。すぐにそれは倍の大きさになる。
軽く動かせば大きく風が巻き起こる。
音を聞きつけて、もう一人の発案者が姿を表した。

「…あぁ、ご愁傷様です」
”…”

本当にこの女、えーと、”薄情”だなぁ…


”でかけ る”
「お気を付けて。特に警察には」
”…”

助走をつけ、上下に翼を動かす。存外、空のたびは快適だった。
問題があったとすれば、まず降りやすい場所がなかったり、警察に遭遇したことだろう。
早く人間型に戻すか、戻れるようにしてもらいたいものだ。


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未確認生物に遭遇した場合のマニュアルがある久希里南警察署。
一、見つけたらまずは撃て
一、逃げられたら追いかけて撃て
一、いいから殺すか捕まえろ
一、報告必須
人外に恨みがあるのかといいたいレベルで、デッドorアライブなマニュアル。
実際に撃ってくるのは二、三人だけど。

mae//tugi
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