あるところにうさぎがおりました。
うさぎは旅をしていて、川を見つけました。
川の向こうには美しい草原が広がっていて、
うさぎはそこへ向かおうとしました。
しかし、その場所にたどり着くには扉がありました。
草原に向かうためにもその硬く閉ざされた扉を開けなくてはいけません。
橋をわたりきることもできません。
そしてうさぎは鍵をさがしに行きました。
うさぎはあるとき気がつきました。
扉の目の前の、橋の終わりに落ちていたのです。
鍵はすぐそばにあったのです。
その鍵を手にして、うさぎは扉をあけました。
それが自分自身の物語の終わりであり、
そして始まりであるとも知らずに。
川を渡ってしまったウサギは二度と草原から戻っては着ませんでした。
しかし、うさぎは向こう岸で幸せに暮らしたのでしょう。
それは誰にもわかりません。
残ったのはささげられた花ひとつ。
おわり。
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