白というにふさわしいその女性が、一体全体どういうことかとため息をついた。
朝(そういうふうに時間設定がされているだけで、決して旧世界の煌々とした光の球体が天井に登るわけではない)になってもなかなかやってこない男にしびれを切らし、その部屋の様子を見てみたその時のことだった。
その男が気まぐれな性格であることは重々承知の上だが、どこを探してみてもその姿を感知できないというのはいくらなんでも異例のこと。
それが彼女の監視のどこにも引っかからないというのであれば、尚更のことだ。
仕方が無く少し前の時間の記録を全て引っ張り出して見ても、どこかで改ざんされた形跡がひとつ見つかっただけで、その行方については何一つ手がかりがない。
これは見つけ出したらそれ相応に罰でも与えるべきかとプログラム相応に次から次と今後をシュミレーションしては納得のいくものを得られないでいるうちに、目の前の扉が静かに開かれた。
 時間にして、朝からおよそ6時間遅れての出社だった。きっと目を釣り上げている上司である女性にいつもよりよれた様子の男は乾いた笑いを零すだけだ。
「随分と遅い出社ですね。あなたのことですから、そうですね、いつもの常套句としてコミーの仕業、とでも言い訳をしますか?それにしては時間をかけすぎているようにも…」
とつらつらと文句を言い始める彼女のその様子に男は慌てて後ろ手に隠していたそれをとりだした。
「は?」
「もうちょっと早く来るつもりだったんだけど、さ。」
こんなに遅れちゃってごめん、と黄色い楕円に白い薄いものが規則的に並んでいるそれが大量に束ねられたものを差し出す。
それをすぐに認知した女はといえば、盛大にため息を吐き出した。
「……どこまで行ったんですか」
「ん?ちょっと上までね。」
それが約6時間もかかった白い男の遅刻の理由であった。

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またマリネコンビのおはなし。
相変わらずの違反行為の連続ですね。

即興小説お題【彼と失踪】

2013.06.27 移行

mae//tugi
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