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しかし、あれは少し気持ち悪いかな、とクラウドから目線をそらした。うへへ、と不気味な笑みを浮かべながら悦に浸るその姿は、確かにスコールでなくとも気持ち悪いと感じるだろう。

「なあ、アレなんとかしろよ…」

直視もしたくないらしい、クラウドを視界に入れないようにしたジタンがスコールに懇願した。言外に、恋人なら責任を取れとにおわせている。スコールは額に手を当て溜息を吐くと、意を決してクラウドに近付いた。

「おい」
「!っ…なんだ、スコールか」

スコールが声をかければクラウドはいつものポーカーフェイスに戻るあたり、さすがであろう。脳内劇場ではスコールがインナーの裾から白い腹をさらして横たわっていたところであったが、クラウドは妄想のエロスより現実のストイックを選択した。いつかは現実を妄想のとおりにすると密かに誓っているあたり、少し…いや、かなり危ないかもしれない。

「どうしたんだ?」
「いや…なんか悩みとか無いのかなと思って」

ジタンにあんたが気持ち悪いから止めてくれと頼まれた、とスコールははっきり言いたかったが、かろうじて堪えたことをクラウドは知らない。それよりも、ようやく訪れたスコールからの接触なのだ。脳内劇場実現の日は思っていたより近いかもしれない、とスコールから見えないところでガッツポーズをした。これは言うしかないだろう。今言って距離をぐんと縮めるのだ。でなければ、こんなチャンスはもう二度と来ない。

神妙な面持ちで口を開きはじめたクラウドをスコールもどこか真剣な表情で言葉を待った。

「キスがしたいんだ」

クラウドの、魔晄を帯びた瞳が告げた言葉は、端正な容姿も相俟ってスコールの恋心を刺激した。別にスコールだって、意識してなかったわけではない。一応、クラウドは自分の恋人だと理解していたが、しかしだからといって何をすればいいかわからなかったのだ。
そして、みるみるうちに、熟れたトマトのように染まっていく頬にクラウドは感動した。

「そ、そんなことで…?」
「俺としては死活問題だ。キスもしたいし、その先もしたいのに、スコールはガードが固すぎるな」
「…戦士なら、そのくらいなんとかしろ」

首まで真っ赤に染めて、スコールが視線をそらすかわりに瞼を閉じた。こんな初な反応では、先ほど脳内劇場で繰り広げた妄想の先に進むのは時間がかかるかもしれない。それでも、大きな第一歩を踏み締めるために、自身よりも少し高い位置にある唇めがけてクラウドは背伸びをした。


「気持ち悪さは軽減したけど、誰かあのバカップル何とかしてくんないかねえ…」

ジタンのぼやきは誰に届くことも無く、宙に霧散するだけだった。

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