世界観 | ナノ

魔物 


 魔物とは、「人知の及ばぬ存在」の総称である。
 多様性のある言葉であり、決してネガティブな意味で使われているわけではない。
 穢れているのか、とか邪悪な存在か聖なる存在かどうかなんて本当はどうでもよく、わけがわからなくて、規格外な存在ならそれは全部魔物と認識される。されてしまう。
 魔力の大量摂取から凶暴化してしまった動植物も魔物。それだけでなく、でかい毒蛇や狼や熊や食虫植物なんかも魔物と認識されることもある。
 人並み外れているだけの人間でさえも、魔物呼ばわりされることがある。
 天使や悪魔なども、(実在するかわからないが)人知の及ばぬという点で魔物呼ばわりされる。
 わかりやすくて暴力的な定義である。

 だから、一口に魔物と言っても、サルファーみたいな獣型からヒト型、いかにもな怪物型まで多種多様。
 共通項は「人の常識からは外れた存在」ということ。異界(ここでは人知の及ばぬ森や山の奥のこと)に住むというが、たまに魔法使いに召還されて使役されたり、人間を襲って喰ったり、討伐されたり、人間との間に子供を作る個体もいる。

 人々は自分達の常識の外にいるわけのわからない存在――未知の存在を畏れた。そして遠ざけようとした。一線を引いた。そうして、古代種(エルフやドワーフなど)や人間達は、太古の時代から幾度となく魔物との戦いを繰り広げてきた。
 そして3600年代、魔王に率いられた魔物の軍勢と、古代種や人間達との世界規模の戦争が勃発してしまう。
 現代(4000年代〜)では、魔物は、森や山でたまに遭遇する程度まで数を減らしている。しかし、人々の間には依然として魔物への畏れが残っている。


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