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かけて、かけられ。もう見事にずぶ濡れだ。結局上着も脱いだから絶対焼けた。 「着替えたら?」 「大丈夫。どうせまた濡れるし」 「またって、」 錨を下ろす振動が聞こえた。つまりは島に着いたわけだ。待ってましたとばかりに上陸して行く兄。と言っても、浜まで少し距離があるから、場所を間違えると海に沈むんだけど。 兄に習って、わたしも手摺を蹴った。わたしの場合、間違えたら捻挫するな。遠くでエルミーさんが叫んでたけど。ごめん、ちょっと答えられない。 高く上がった水飛沫。は、ちょっと見てないけど、そんな感じの音と一緒に頭まで海に浸かる。一面の青。どこまでも見渡せそうな、透明な青。 「何考えてるの!」 「エースさんがいいって言ったあ」 海面に顔を出せば、また青。畳まれた帆が雲みたいだ。あ、何かギャラリーが増えてる。そのうち、何人かが同じように手摺を蹴った。…あんなに高く水飛沫上がったのかな。 「エルミーが怒ってたぞ」 「何で?」 「危ねェからだろ?」 危ないって…いや、危なくないことはないと思うけど。二回ばっかし、あそこから落ちてるし。泳げなくないし。 「怒ってるなら戻るのやですねえ」 「あっ、こら」 とぷん、と海に潜る。足はつかないけど、そこまで深くはない。底が見える海なんて初めて。岩場を蹴ったら、魚が飛び出してきた。ごめんごめん。 「イズ!」 「ごめんなさい?」 一頻り泳いでから船に戻ったら、エルミーさんが仁王立ちしていた。そんな姿もきれいです。こう、すらっと伸びた脚とかね。 「もう、わかってないでしょう!幾ら浅くたって、海王類もいるのよ?」 「…じゃあ、丸呑みされるように気をつける」 「そうじゃないでしょう!」 ごめんて。頬っぺを両手でぐりぐり潰されて、…それご褒美。怒った顔もきれいなんて、神様不公平が過ぎやしませんか。 「ちょっと、聞いてるの?」 「きいてうきいてう」 「…取り敢えず、着替えてらっしゃい。海水につけたまんまじゃ、服が傷むわよ」 「まだ泳ぎたいんだけど」 「それなら尚のこと、早く着替えてくるのね。水着買いに行きましょ」 「えっ…」 水着?水着って言った?いらないよ。着たくないよ。姉さんたちみたいなないすばでぃじゃないんだから。やだよ。 *** 「随分楽しそうだな?」 「楽しそうじゃないわよ!グランドラインがどういうものかわかってないのかしら!」 「大丈夫だろ。船からそう離れちゃいねェ」 「…あんまり甘やかしすぎるのもどうかと思うわよ?」 「耳が痛いねェ」 |
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