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そのままテーブルに居座ろうとしたら追い出された。何なん。疚しい話でもしてたん・

「何?それ気に入ってんの?」
「美味しいです。食べます?」
「おー、ちょっと貰うわ」

サッチさんに皿を送れば、一口食べて、何かぶつぶつ言ってる。醤油がどうとか、砂糖がとか。やっぱ料理人てそういう感じなのね。

「ニホンの料理か?」
「そう、ですね。たぶん。家庭料理?かな?」
「今度サッチさんが作ってやるよ」
「ふふ、楽しみにしてます」

少し減った皿が帰ってきた。よくこれだけでわかるな。ゾノさん頑張れ。

「イゾウさんも食べます?」
「…貰おうか」

おい待て。何に笑った。嫌な予感がするぞ。何だ。今度は何だ。目が合ったから聞いてみただけだぞ。

「ああ、美味いな」

予感とは裏腹に、イゾウさんは普通に食べた。良かった。何考えてんのかと思った。

「イズル、口開けな」
「…?」

言われた通り、口を開けた。イゾウさんが箸を差し出してきたから食べた。だし巻き玉子。美味しい。ご飯と味噌汁が欲しい。

「お前ら…」
「あっはっはっは、おま…イズすげェな!」
「…、そんな笑う要素ありました?」

呆れ顔のマルコさんと、腹を抱えて笑い始めたサッチさんと。そんなに笑う?姉さんたちともよくやるけど。

「わたし何か間違えました?」
「いや?合ってるよ」

そう言いつつ、イゾウさんは満足気にわたしの頭を撫でる。何だろうなあ。小学生くらいになった気分。

「いちゃつくんなら余所行けよい」
「別にいちゃついてません」
「マルコに言われる筋合いはねェな」

…?ああ、そうじゃん。マルコさんにもやったじゃん。何で知ってんの。怖いんだけど。

「何だよ、マルコもやったのか?」
「いや、おれは、」
「マルコさんにはわたしがしたんですよ」
「はあ!?」
「さぞかし甘かっただろうなァ?」

ああ、うん。甘いって言ってた。何で知ってんの。怖いんだけど。



***

「あんたら、いつまでいるんだ?」
「もう三、四日ってとこだよい」
「なら丁度いい。明後日は祭りの日なんだ」
「へェ、そりゃ随分いい時に来たな」
「その姉ちゃんにも、懐かしいもんが多いと思うんだが…」
「寝顔も可愛いね。あんなに元気いっぱいなんて信じられないくらい」
「おい、ルーカ。ちょっかい出すな」
「大丈夫。寝込みを襲うほど悪趣味じゃないよ」
「イゾウ、顔」
「あァ?」




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