君と過ごす一年間



「もっとこっち来なよ」

「わ、」


駄々広いベッドの上、裸のまま布団に包まる私とマオ。
頭上を取り巻くピンクのライトがお気に入りのマオは私の腕を強く引っ張って白いシーツの上を滑らせた。自分とさして変わらない体系なのに、どこにそんな力があるんだろう?強制的にされる腕枕はいつも遠慮して体に力が入る。
頭って人間の体で1番重たいし、マオの腕が折れたりしたら嫌なんだもん。


「そんな心配いらんし」

「…だって細いじゃない」


素肌が触れ合うとどうしてこんなに安心するんだろう?
忙しなく過ぎていく季節の中で1番落ち着くのはマオの腕の中だけだった。ここは私だけの特別なもの。


「なまえだって細いだろ」

「マオより微かにね」


ちょっと膨れて見せるとマオは私以上に頬を膨らませて拗ねるフリ。
それを人差し指でゆっくり押すと空気が抜けていって最後はマオの唇に捕まった。
その口内は思っていた以上に熱くて、指に這わされる舌が気持ちいい。


「ん、……」

「なまえの指って美味しい」

「食べないでね」


口をすぼめてしゃぶられるのはいつもの事で、それはマオの癖でもあった。
舐めるのが好きなマオは私の体の隅々まで舌を這わせるから終わった後のお風呂はいつも欠かせなくて。でもそのおかげで全身が性感帯のように敏感になってしまった。


「あ、ん」

「すっげ。さっきしたばかりなのに、もうこんな?」

「マオがいけないんだよ」


私の指を口から放すと今度は下に指を滑り込まされた。そこは十分な程に潤っていて、マオはしょうがないなぁなんて言いながら入り込もうとする。
それに合わせて体の向きを変えようとした私はまた強い力によって視界が逆転した。


「なに、っ」

「今度はなまえが動いてよ」

「やっ…はあ、あぁ!」


下から突き上げられる衝動で声は止まらず、腰に手を当てながらマオは目元を吊り上げていた。その薄い胸元に手を当てるだけで折っちゃうんじゃないかってすごい不安になっている私は、やっぱりまだ遠慮している部分を拭えない。

自分が上になるのはまだ数回しかないから余計に。


「もー、いつまでも俺の事モヤシ扱いしないでくれる?」

「ん、あっ…だってっ…」

「これでも最近鍛えてるんだから」

「あァっ…やだ、ああっ」

「やじゃないくせに」


倒れこむ私をぎゅうと抱き締める腕の強さとか、耳に吹きかかるマオの吐息とか、意識をぼんやり霞ませるには十分の刺激がなまえを襲って嬌声は漏れ出すばかり。
首筋に吸い付いた厚い唇、マオに抱かれる度に増えていくキスマークはいつも洋服に隠れるようにつけられていく。

その内意識が飛びそうになって、どうにか自分を保とうとマオにしがみつく私を彼は楽しそうに攻め立てるからいくら体があっても足りないなぁとため息交じりに吐息を吐き出して。

迎えた絶頂は体全体を痺れるような感覚に包まれ、こんなに気持ちよくなれるのはマオが彼氏だからだろうなぁと思う私。


「く、……はあ、…締めすぎー」

「…突き、すぎぃ…」

「お風呂はいろっか」

「もう立てない」



汗ばんだマオの手が私の前髪をかきあげて、おでこにそっとキス。
そのまま上体を起した彼がひょいと私を持ち上げてお風呂場まで運んでくれた。
本当に鍛えてるのかも、と思う私はあまりの嬉しさにいつの間にか溜められていた湯船にいれられて口元まで沈み込んだ。


「なん、照れてるの?」

「…ふふふ」

「やばい、超可愛い」




後から足した泡が出てくる不思議な液体で逆上せる寸前までマオと遊んだ末、温まった体でホテルを後にすると外は綺麗な雪が降り出していた。
綺麗だね、と見上げる空は冬の匂いと輝く結晶で胸を温め、寒いからと絡めた指をきつく結びあげる。

もうすぐ今年が終わる。マオとの思い出が詰った一年が過ぎ行く時も、一緒にいれたらいいなとなまえはこっそり微笑んだ。


end



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