恋焦がれて見た夢14




side臨也...



いつまでもここにはいられない。
そう言ってシズちゃんは俺の手を取って屋敷の裏から出た。
そこで見知らぬ女の人が待っていた。
一体誰なのだろう、シズちゃんが喋っているからきっと知り合いなんだろう。
少し警戒してシズちゃんの影に隠れる。
話の内容は驚くべきものだった。
俺自身もさっきまでその現場にいたが、あの男は人体の一部や臓器マニアだったらしい。
しかもその被害者は数多くいたらしく、目の前にいる女の姉もその被害者だと言う。
その姉を奪った相手をぶちのめしたことに感謝を述べている。

「俺たちはもう行く、色々助かった。」

シズちゃんは俺の手を引く。
初めにも言っていたがずっとこのままでいるわけにもいかないんだ。
服だって早いところ新しいものを調達しないといけないし。
けど俺たち今すごく生臭い。
早いところどこかで血を洗わなければ。
そのことを察した女は風呂を使っていけと言い出した。
女の屋敷にある離れの風呂ならば使ってもわからないそうだ。
俺たちはその言葉に甘え、風呂だけ借りて女の屋敷を後にした。
幸いなことに風呂から出るといくらかの着替えと食べ物とお金、あと旅に必要そうなものが置いてあった。

「ねぇ、シズちゃん。俺怖いよ、でも前の時みたいな怖さじゃないんだ。何ていうか、ドキドキする。それに寂しくないから。」

ぎゅっと繋いでいた手に力が入る。
自分たちで、無理やりではあるけれど掴んだ自由。
これから好きなように生きて行ってもいいんだ、そう思うとわくわくする。
この先何が起こるか分からないし、どうしたらいいかもあまりよく考えていない。
けど、シズちゃんがいる。
それだけで俺は十分だったし、やっていける気がした。

そして俺たちは夜の暗闇に姿を消した。












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