恋焦がれて見た夢15







雲が出てきて月が覆われた。
沙希はそれを確認し、窓を閉める。

「あの2人は、幸せに暮らしてるかな・・・。」

当時の店の者は何となく察していた。
本当は静雄が臨也のいる離れに通っていたことをみんな知っていたのだ。
だから、静雄が店から姿を消しても誰もそれを咎めようとはしなかった。
誰も知ることのない2人の行方。
それぞれが気にしながら、それを口にはしなかった。
それは沙希も同じで、正臣に初めて話した。

「きっと幸せに暮らしてる。大丈夫だよ。」

その言葉にゆっくり頷く。
大丈夫、あのしっかりした臨也のことだから。
そして優しい静雄が側にいるのだから。
中途半端な覚悟では出来ないことをあの2人はやってのけたのだ。
幸せになれないはずがない、沙希は改めてそう思った。

「沙希も幸せか?」

今、沙希は自分が望んだ相手と共に生活が出来ている。
これがいかに幸せなことなのか、よくわかっていた。

「もちろんよ、すごく幸せ。ありがとう、正臣。」


窓の外、月が再び顔を覗かせていた。





END




後書>>>

読んでくださってありがとうございました。
これにて完結です。
正臣と沙希のカップルが好き。笑

シガト

 
 



 





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