恋焦がれて見た夢13




※暴力表現ありです。












オヤジの顎を掴む。
チッ・・・気持ち悪ぃな。
ちょうどさっき投げた行灯は陶器で出来ていたらしく、その破片が散らばっている。
俺はそれを1つ拾い上げてそいつの目の前でちらつかせる。
くぐもった声で抵抗を見せるが知ったことではない。
無理やりそれを口の中に押し込める。
他にもメスを粉砕してから詰め込んでやった。
それをさらに1つ、もう1つと徐々に増やしていく。
口内はすでにボロボロだろう。
それでも俺はそいつの頬を多分死なない程度に、かつ意識を飛ばさせないように殴る。
悲鳴にもならない声をあげて苦しむその姿を見ても何とも思わなかった。
ただ、殴る。それだけ。
もう何の声もあげることの出来なくなった男を一度放してやる。
それからそいつの使うつもりだったであろうものの中からぴったりなものを見つけ口角が上がる。
俺が手にしたもの・・・食塩水を見てオヤジは顔を青くした。
そして首を横に振りながら後ずさる。
面倒くさいと思い蹴りつける。
再び顎を掴み無理やりこじ開けそいつをぶち込んだ。

「ぎぁぁあ゛ぁぁあ゛ああぁ!!!!!!」

相当の痛みではあるだろうが、これまで命を奪われたやつらにしたら比べ物にならないはずだ。
そいつはそのまま意識を失ったが死んではいないだろう。

ここでやっと俺は臨也を見た。
臨也は目を瞑ったまま耳を塞いでいた。
触れようと思い手を伸ばしたが自分の手が血で濡れているのに気づく。
こんな手じゃ臨也に触れられないよな。
それは血を洗い流しても同じだと思った。
俺はやはり化け物だ。


「ごめん、めちゃくちゃにしちまったな。」


「シズちゃん!」


俺の汚れた服を気にすることなく抱きついてきた。
臨也の流す涙に俺まで洗われる気がした。

「さっきのシズちゃん、何か怖かったんだけど・・・。もう大丈夫?」

頬に触れる手を掴んでしまった。
温かくて、いろんなことを思い出した。
それと同時に涙が止まらない。
良かった、臨也が無事で。
綺麗な緋色の瞳に俺が映っている。
こんなに嬉しいことはない。
臨也がもう一方の手で俺の頭を撫でてくる。

「臨也、逃げるぞ。」

 




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