恋焦がれて見た夢4



「静雄さん、今日落ち着きがございませんね。」

俺の上客である女が言った。
そんなことないと反論したが、じゃあ今何の話をしていたかと聞かれて答えられなかった。
今夜は落ち着かない、理由も心当たりがある。

「悪いな。」

女は一通り食事を済ませると早々に帰ろうと腰を上げた。
俺もそれを引きためたりしない、そんなことをしてもどうせ大したことをしてやれない。
また今度、その時はサービスしてね?と言い残し去っていった。
1人になった部屋で寝転がる。
本当なら臨也のところに行きたい、けど今日はそれが出来ない。
昼間、遊女たちが今晩は臨也の床入があるんだと話していた。
通りで見せも慌しく動いていると思った。
豪華な着物や髪飾りが運ばれていたのは、全部臨也の客からの貢物せいだった。

今頃臨也は抱かれているのか。

それを思うと昔のことを思い出す。

なぜなら、俺がここに来て初めて抱いたのは臨也だからだ。









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