恋焦がれて見た夢2



その人はお店で一番の花魁だったから決まって離れで過ごしていたの。
お客を取らない日は縁側で読書したり、お昼寝したり。
お茶やお華をすることもあったわ。
あと、本当はダメなんだけど私たち世話役以外の人が来てその人とお喋りしてた。
その時が一番自然で楽しそうでとても綺麗だったなぁ・・・。





side臨也...




「シズちゃーん、また来たの?」

「悪いか。」

寝転がって本を読んでいたら視界にキラキラ光る金髪が入ってきた。
名前は静雄、俺はシズちゃんって呼んでるんだけどね。
俺より5つ年下だけど、俺よりも身長が高いしガタイもいい。
ついでに言えば顔もいい、まぁそれはここにいる以上当然か。
かく言う俺も眉目秀麗らしいし、おかげで今じゃ花魁になっている。
でも俺は男だから正式に何ていうか当てはめられない、けど遊女にしたらそれくらいだって言ってた。

「営業妨害、俺シズちゃんのお給料じゃお目にかかることも出来ないくらい高いんだからね?」

けど、シズちゃんもかなりのお金を払わないとお目にかかれないらしい。
でもでも俺はその上を行くんだから!
そもそも遊郭で男を扱うっていうのが珍しい。
しかも男を抱ける店なんて他に聞いたことがない。
俺は5歳でこの店に売られて、始めは掃除とか雑用で働いていた。
だが、たまたま俺を見かけた上客の男が言った一言で俺の人生はめちゃくちゃになった。
あれは思い出したくない、痛いのと苦しいのと怖いのでいっぱいだった。
今となっては苦い思い出ですよ・・・ははっ。

「営業中じゃねぇだろ。給料泥棒が。」

うっかり存在を消していたけどいたんだねシズちゃん。
つか勝手に縁側に座って寛いでるし!
ちょっと、こんなのにお茶出したの誰!?
ご丁寧にお茶菓子まで・・・、まったくうちの禿はよく出来た子だよ。
「給料泥棒はシズちゃんも一緒じゃん。」

知ってるんだぞ、この間客蹴り飛ばしたらしいじゃん。
本当に喧嘩っ早いんだから。

「お、これうめぇな。」

聞いてないしね!!
でもなんだかこの場所でシズちゃんと喋ってると立場とか全部忘れちゃうんだ。
不思議だなぁ、普段ここに出入りするのが女の子ばっかりだからかな?
不定期にやってくるこの時間が俺の楽しみの一つだったりするのは秘密だ。




Back Next