04




ようやく臨也を見つけたのはあれから2ヵ月してからだった。
新羅の話から臨也がよく行くというカフェを見つけた。
通ってもなかなか見かけることはなかった。
しかし今日、やっとその姿を捉えた。
そこの店にはテラス席があり、臨也はそこに座って何か課題をやっているようだった。
あぁ、少しだけ髪が長くなったみたいだ、あとは変わらないと思う。
声をかけようか、でも一体どんな顔で会えばいい?何を話したら…、とにかく謝らないと。
そう思い一歩を踏み出した…が、その次を踏み出せなくなってしまった。

ちょうどカフェの前を学生らしき奴らが通ったのだ。

この近くの大学は1つだ、臨也もそこの生徒だというのはわかっている。
テラスにいた臨也に気がついたそいつらは友人なのか、ちゃっかり席に着いた。
臨也は嫌がる様子もなく、楽しそうに笑っている。
あんな顔は見たことがなくて戸惑ってしまった。
あの隣にいるのが俺だったら…、いや、そうでありたかった。
けれどたくさん傷つけたに違いない、なのに今更出て行ってゴメンだなんて都合が良すぎるんじゃないか。
ポケットにある臨也から預かっているナイフに触れた。

もう忘れるべきなのかもしれない、そう思ってしまう。
臨也には臨也の世界が出来ているんだ。そこに俺の居場所はない。
せめて新羅や門田たちとは今までどおりの付き合いはしてほしいそう願う。
俺じゃ臨也を幸せに出来ない、傷つけてばかりになる、だから俺はその場に背を向けて逃げるように立ち去った。
情けない、俺は昔から変わらない。
結局逃げてばかりだ。
それでも、この気持ちからは逃げられないのだけは分かっていた。



Back Next