03
「はぁ!?何で自分でチャンスを潰すようなことするかなぁ。」
事情を説明すると新羅は呆れかえっていた。
俺だって馬鹿だと思っている。
「臨也、連絡つかねぇんだよな?」
「うん、完璧に君のせいだね。」
遠慮のなさは相変わらずだ。
そして少なからず怒っている。
臨也を大切に思っているのは新羅も同じだ。
昔から応援してくれていた門田と新羅まで裏切る形になってしまった自分が不甲斐ない。
俺たちはとりあえず臨也の家に行ってみることにした。
玄関から出てきたのは臨也の母親だった。
「あら、新羅くんに静雄くん。いらっしゃい、どうしたの?」
新羅が適当な挨拶をし、臨也がいるかどうか確認した。
すると予想外の答えが返ってきた。
なんと臨也は1人暮らしをしているらしい。
住所を教えてもらおうと試みたが、どうやら最近違うところに引っ越したらしく住所を控えるのを忘れてしまったらしい。
ならばケータイの連絡先はと尋ねると今はPC同士で連絡を取り合っているという。
「携帯壊れちゃったらしくて、早く新羅くんたちにも連絡するように言っておくわね。」
お邪魔しましたと挨拶をして家を出て、近所の公園のベンチに2人で座った。
「よくここで遊んでたよね。」
新羅の言葉に目を細めて公園を見渡す。
確か俺たち4人が初めて出会ったのはここだ。
それぞれが母親に連れられて来たんだっけ。
家も近いことだからとよく遊んだ。
臨也が門田と作ってた砂の城を俺は誤ってふんずけて臨也に泣かれた。
それを聞きつけ草むらで蟻や虫を観察していた新羅もやってきて3人で一生懸命慰めた。
「懐かしいな。」
ブランコにも滑り台にも鉄棒にもたくさんの思い出がある。
そこには必ず4人がいた。
大学生となり学ぶ場所は違えど4人は一緒だと思っていた。
けれど今ではそれすらも危うい状態に俺は追い込んでしまった。
臨也がこのまま離れていったら?
それは新羅や門田に申し訳ない。
俺は立ち上がって新羅に言う。
「あとは自分で何とかするわ。」
俺が蒔いた種だ、自分で摘まなければいけない。
それでも新羅は協力するからと言ってくれた。
公園を出て帰路につく。
その間新羅から延々とセルティの惚気を聞かされて殴りたくなった。
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