02


 


俺は今日という日を死ぬほど楽しみにしていた。
今日はようやく臨也が帰ってくる日だ。
到着の予定時刻の1時間前に空港ロビーに着いた。
今か今かと落ち着かず時計ばかりを気にしてしまう。

予定時刻をすでに3時間も過ぎている。
さすがにおかしいと思って携帯に電話をかけてみたが繋がらない。

まさか、いや、でも…。

臨也は俺を避けて行った?
嫌な予感しかしない、そして結局その日臨也は現れなかった。

「はっ…そういうことかよ。」

俺は受け入れたくない現実を噛みしめ空港を後にした。



地元駅に着き、家に向かって歩こうとした時に久しぶりに新羅に出会った。
「静雄久しぶり!」

「あぁ。」

「あれ?機嫌悪いね、臨也と喧嘩した?」

臨也という単語を耳にして一層気分が落ち込んだ。
喧嘩もなにもする前に終わってしまってる。
別にそんなんじゃないと伝えてその場を離れようとしたら引き止められた。
何なんだよ、さっさと帰ってふて寝したいんだ。

「たしか臨也が帰って来て今日でちょうど1ヵ月だよね。
この間京平が久しぶりに4人で飲もうかって言ってたんだけど臨也に連絡つかなくて、伝えておいてくれるかい?」

……は?
心臓が一瞬止まった気がした。
臨也が帰ってきて1ヶ月・・・だと?
ここで俺は思い出した、すっげぇ大事なこと。
3月に臨也から帰国が1ヶ月早くなったっていうメールがPCに届いたんだ。
嬉しくて嬉しくて、迎えに行くと返信をしたまま浮かれていた。
俺はそれをケータイにも手帳にも記すことを忘れていた。
そうだ、臨也を裏切ったのは俺だ。
アイツは待っていたに違いない。
ずっと、1人で。

「新羅、俺最悪なことしちまった…。」


 



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