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下駄箱のところでドタチンに出くわした。
俺はよっぽど酷い顔をしていたのか心配されてしまった。
そして聞かれたくないことを尋ねられた。

「…静雄が何かしたか?」

「あは……キスされちゃった。」

なるべく明るく言ってみた。
本当はすごく動揺している。
ドタチンは呆れながらバカかアイツはと言い放った。
俺は少しだけ心のうちを明かした。

「俺さ、シズちゃん好きだと思う。」

「じゃあ…。」

「でも断った。」

そう、俺はここ最近でシズちゃんに対する意識が恋愛感情であることを自覚していた。
けれどまさか両思いだなんて予想はしていなかったから困った。
だって俺としては諦める気満々でいたのだから。
そして、やっぱり俺じゃダメな気がする。

「俺、シズちゃんを怒らせることしか出来ない。」

するとドタチンは意外なことを話してくれた。

「静雄はそういうことも含めて、アイツ本当に臨也が大好きだからな。」

俺が小学校の遠足を風邪で休んだ時にひどく機嫌が悪かったとか、
中学で俺にちょっかいを出そうとする先輩を絞めてたとか、
全然知らないことばかりだった。

「不器用なんだよ、好きな奴の前ほど…な?」

「ドタチンどうしよう。」

俺はその話を聞いてたまらなく嬉しくなった。

「いいじゃないか、素直になったって。」

けど、どうしても素直に頷くことが出来ない理由が俺にはあった。
だからその場は曖昧に答え、先に学校を出た。

 



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