18 side静雄




「兄さんごはんだって。」

幽が夕飯の用意が出来たことを告げに部屋にやって来た。
短く返事をし、2階からリビングへと向う。
正直あまり食欲がなかったが、うちは一度飯を食いっぱぐれるともう食わせてもらえないからな。
席に着くと母親が味噌汁が入ったお椀を置いてくれた。
いただきます、と言ってからそれに口をつける。
今日のメニューは俺の好きなハンバーグだった。
臨也とのことがあって少しへこんでいたが、少しだけ気分が上がった。
幽が母親と会話しているのを聞きながら、黙々と食べ続ける。
するといきなり話を振られた。
しかもタイムリーに臨也の話で、一瞬咽そうになったがどうにかこらえることが出来た。

「ホント臨也くん凄いのね。」

俺は何の話かまったく分からなかった。
ポカンとしていると母親は勝手に続きを喋りだした。

「今日買い物で折原さんの奥さんと会って喋ってたんだけど、臨也くんアメリカに留学するんでしょう?
2年間って言ってたかしら、凄いわよねぇ。でも頭いいから納得ね。静雄も英語だけは得意だけど他がねぇ…。」

「臨也さん凄いね…、兄さん?」

そんな話は聞いていなかった。
アメリカに留学?何だよそれ、だからずっと英語の勉強ばっかりやってたのかよ。
それよりも、何で一言も言ってくれなかったんだ!
俺は居ても立ってもいられずに立ち上がってちょっと行って来るとだけ残し臨也の家に向った。
今何時だと思ってるの、と怒る声は無視をした。


 



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