15 side 静雄
冬になり、それぞれが本格的な試験期間に突入していた。
もちろん合否判定も続々と出ていた。
今日は新羅の合格発表の日だった。
「あー!解放された!」
屋上にやってくるなり両手を高々と突き上げ叫んだ。
どさくさにまぎれてセルティに抱きついている。
次の瞬間、鳩尾を殴られていたが。
「新羅、合格か。」
「もちろん!」
これでここにいる全員が合格ということだ。
しかし気がかりが1つ。
臨也が、まだ英語の勉強をしているらしいということ。
俺は臨也がどこの大学を受けたのか知らなかった。
「そういや臨也はどこ受けたんだ?」
>あ…、聞いてなかったな。
セルティなら知っているかと思った。
しかし新羅も門田も何も聞いていなかった。
「あれだけ一生懸命に英語やって、もしかして静雄と同じとこだったりして。」
そんなことを新羅が言った。
まさかとは思うが、もしそうだとしたら死ぬほど嬉しい。
気になる、すげぇ気になる。
「静雄、見てきてやれよ。」
門田に言われ、仕方ねぇなと悪態をついて屋上を後にした。
図書館でアイツを見たことはないから、多分教室で勉強しているんだろう。
予想通り教室で臨也を見つけた。
「うわ、シズちゃんどうかした?」
声をかけると驚いて顔を上げた。
新羅が合格したことを伝えると、流石だね、なんて答えた。
そして俺は臨也になぜ英語の勉強をしているのかと、進路が決まっているのかを尋ねた。
「進路は決まってるよ。英語はちょっと必要なだけ。新羅も受かったんでしょ?みんな決まって良かったじゃん。」
なおも英語のテキストに目をやる臨也。
受験が終わってまで勉強を続けているやつなんていない。
それにコイツ、そこまで英語が出来ないわけじゃなかった気がする。
なのに一体何なんだ。そしてもう1つ気になっていたことを聞いてみた。
「あー…、その、どこ行くんだ。」
「シズちゃんには関係ないでしょ。」
あっさりと言われ、少しだけショックだ。
そりゃあ関係ないかもしんねぇけど、これでも幼馴染だろうが。
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