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今朝、臨也の家に寄ると休みだと言われた。
ついでにその日は珍しいことに静雄も家の前で待っていた。
これは確実に昨日何かあったね。
「静雄、臨也どうしたんだろうね。」
「メールしても返事来ないし、何かあったのか。」
さすが、京平もわかっているようだ。
静雄は眉間に皺をよせ、ぼそりと話し出した。
「……昨日、臨也を迎えに教室行こうとしたら臨也が走って来たんだよ。」
「それで?」
「…手、伸ばしたら…避けられて…。」
自分で言いながらショックを隠しきれていない。
それもそうか、十数年片思いの相手に拒絶されたんだからね。
それでもそんなことはお構いなしに臨也の心配をするのが京平だったりする。
「おい、今落ち込むな。話終わってから落ち込め。」
しかも落ち込んだところで臨也の心配しかしないのを僕は知っている。
まぁまぁ、と2人の間に入り静雄にその先を促した。
「そのまま・・・逃げられた。家まで追いかけたけど、間に合わなかった。」
本当に話し終わってから落ち込む静雄。
話を聞いた限りでは教室で何かがあった、それも静雄を避けて1人で帰ろうとするような何か。
もしかしたらセルティなら何か知ってるかもしれないと思い、僕は呼びに向かった。
*
「というわけなんだけど、昨日何か変わった様子はなかった?」
未だに落ち込んだままの静雄を放置し、呼んできたセルティに話を聞く。
少し考える素振りを見せて文字を打ち込み始める。
どうやら心当たりがあるようだ。
>臨也は最終の進路希望で考えこんでたみたいだった。
あまり思いつめたらいけないと言ったんだが…。
「原因はそれか。」
この間の屋上でのこともあるし、可能性は高いだろう。
それでも疑問なのはわざわざ静雄を回避しているところだ。
あの臨也ならそれくらいのことだったらどうにかして相手を言い負かすに決まっている。
「どうだろう、それだけで静雄を避けると思うかい?」
>確かに・・・。でも私が教室を出た時はクラスメイトはみんな帰っていたから他に人はいなかったぞ。
「他のクラス、学年ってことか。」
もしくは学校職員だって考えられる。
セルティが後日それとなく臨也に聞いてみるということでその場は収まった。
静雄は終始落ち込みっぱなしだった。
あの最強と言われる静雄をこんな風にしてしまう臨也がすごいと思ってしまう。
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