08
一瞬の沈黙。
それぞれにあー・・・とか声を発する。
その中でいち早く答えたのがドタチンだった。
「俺は建築系だ、あと家から通えそうなとこだな。」
すると新羅がそれにのっかって喋り始めた。
「そこ重要だね。僕はもちろん医大に進むよ。セルティは?」
>私か?私は…国際文学に興味があるからそういうところかな。
一応それぞれ何かしらの形を見出しているようだった。
そんな中シズちゃんはまだ何も言っていない。
まぁシズちゃんのことだから大して考えてないんだろうなぁと見るとニヤリと笑われた。
「俺も決めてるぜ、自分の進路くらい。」
意外だった。
正直シズちゃんなら、とか思っていただけにショックだ。
つまりアレだよ、俺だけ決まってな・・・
「はっ、そういう手前が決まってねぇんじゃねぇの。」
はい、図星ですよー。
でもシズちゃんに指摘されたくなくて強がってしまった。
「違うし!ってかシズちゃんも東京の学校なわけ!?」
当たり前だろ。と返される。
じゃあみんな関東、東京の大学ってことか。
再び考え込むと髪をかき混ぜられた。
「何すんのさ、ドタチン!」
「別に学校が違っても俺らは幼なじみだから変わらないだろ。」
そのことで考え込んでいたわけではないけれど、そういうドタチンの優しいところが大好き。
新羅も調子に乗って良かったねーなんて茶化してくるもんだから蹴り飛ばしてやった。
俺もちゃんと考えなきゃヤバイかもしれないとようやく危機感を抱いた。
新羅の心配をするセルティを引きずって屋上を後にした。
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