05


お昼休み、俺は授業が終わるチャイムが鳴るのと同時に席を立とうとした。
しかしセルティがやって来て俺の制服の端を掴んだ。
新羅と2人きりになってしまうのが恥ずかしいんだろうな。
俺はにっこり笑って新羅と先に行っておくように言った。
 
>え!?臨也は行かないのか?
 
俺は手に持っていたプリントをひらひらさせて見せる。
これは昨日まで提出しなくてはいけなかったものだ。
それはセルティもわかっていると思う。
すぐに行くからと告げて俺は教室を後にした。


職員室の前、俺はしっかり優等生の折原臨也を作り上げドアをノックする。
中に入ると担任の姿を見つけ、声をかけた。
細身できれいめなその容姿は女子生徒から人気である。
その証拠に机の上を見ても恐らくプレゼントされたであろうクッキーやら飴やらが置いてある。
この人は律儀に食べたりするんだろうな、なんて不躾に見てしまった。
 
「でな、先生ちょっと探してみたんだよ。」
 
一体何の話をしていただろうか、あまりにも適当に相槌を打っていたため展開がわからない。
確か進路の話・・・だったかな。大学がどうとか、模試がどうとか言ってたはずだ。
案の定その通りだったようで、いくつかの参考資料のコピーと学校案内を渡された。
わざわざクリアファイルに入れてくれるところがらしいなと思う。
俺は素直に感謝を述べてその場を後にした。
 
手に持つそれを見ると嫌でも現実を突きつけられてしまう。
 
こんなもの投げ出して目の前のことを楽しんでいたい。
 
明日の俺にスルーパスを出してやりたくなる。


 



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