03




3限目の授業を終えての10分の休み時間。
 
俺は机に突っ伏して次の授業が始まるのを待っていた。
はっきり言って、みんなに人気の臨也くんは今誰とも喋りたくないし話しかけられたくない。
そうしていると、肩をトントンと叩かれた。
ちょっと空気読もうよ、どう見ても明らかに俺今周りをシャットダウン中でしょ?
なんて思っていたところでもう一度叩かれたため、誰だよと見やるとそこにはセルティがいた。
喋る気にもならず雰囲気だけで用事を問うことにした。

 
>元気がないな。どうかしたか?

 
喋ることの出来ない彼女はPDAに文字を打ち込んでコミュニケーションを取っている。
俺はさっきの質問に「別に。」と短く答えた。すると少し考えてまたポチポチと文字を打っているようだ。
続いて打ち出された文面を見てようやく俺は突っ伏した上体を起こした。
 

「27人目。」
 
>は?

 
彼女の表情は分からないが、おそらくキョトンとしているに違いない。
俺は今セルティがしたのと同じような質問『平和島静雄は今日休みなのか?』ということを26人、さっきのを合わせ計27人から今までの間受けたのだと説明した。
大体みんなどうして俺に聞くんだよ。クラスが同じドタチンとか新羅とかいるだろう。
それにシズちゃんが学校を休もうが何しようが俺には関係ないと思わない?
それとも俺はシズちゃんに毎日予定を確認しなきゃダメなわけ?そんなことないよね。
なのにみんなは俺にシズちゃんについて聞いてくる。
 
「君たちは俺とシズちゃんの関係をわかっているのかな?」
 
そう、俺たちは24時間戦争コンビと言われるほどに喧嘩ばかりの毎日だ。
俺は犬猿の仲と言われるシズちゃんの欠席理由に興味がないし、そもそもシズちゃんだって言うわけがないことは容易に想像がつく。
それなのに一体みんなは今日まで何を見てきたと言うんだ!
 

>わ、悪かった。
 

俺は再び机に突っ伏した。
何で今存在してないシズちゃんは俺をこんなにムカつかせるんだろ。
あーぁ、どうせシズちゃんが来るまでにこの後も何人かに同じ質問をされるんだ。
嫌になっちゃうよね。
 
「本当にシズちゃん死ねばいいのに。」
 
ぼそりと言葉にする。
誰かに向けて発したわけではなかったのに、セルティが反応してみせた。

 

 



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