25のちょっと前の話。 リゾット視点
 組織の上層部から届いた任務依頼の書類に目を通し、その内容の胸糞加減に思わず眉間に皺を寄せた。
 それは、組織の麻薬を強奪しただけでは飽き足らず、それを使って自分の性癖を満たす者がいる。その変態的趣向の被害に合った子供たちの中に、組織の上層部の子供も含まれていたようで相当憤怒しているようだ。関わった人物を拷問して聞き出し、無残な死をという要望があった。そしてまだ確定ではないが、政治家の男が関わり今度開催される誕生日パーティーでは関わった人物も呼ばれているだとか。
 オレはこの任務書を読んで、誰に行かせようかとしばし考えた。普段こういう潜入調査は、イルーゾォやホルマジオが得意だ。極稀に、プロシュートやメローネが嫌々ながらも女装をしたりする。だが、今回は子供相手への性癖の持ち主だ。美人だったりではターゲットに通用しないかもしれない。
 そうなると……一番子供らしく見えるのは凜だ。最も適任しているのは彼女しかいない。元々拷問チームにいたんだから、情報も聞き出すことはできるだろう。そしてイルーゾォも同行させれば、普通に兄妹と見られ会場に入れるだろうし、緊急時に備え凜に鏡を持たせると。凜が情報を聞き出し、パーティに呼ばれて来ている者がいたらプロシュートとギアッチョに始末させる。
 頭の中で着々と手順が整ったので、オレはプロシュートとギアッチョを呼び出すのだった。

 呼び出した二人に、任務の資料を渡し大方説明を終わらした。この二人の主な仕事はメインで動く凜とイルーゾォのサポート役だが、先に作戦を伝えておいた。
「そうだ、プロシュート」
「あん?」
 先に二人に伝えておいたのは、一つ理由があったのだ。ギアッチョに続いて執務室から出ようとしたプロシュートを慌てて呼び止めた。
「お前に凜が着るパーティードレスを見繕ってやって欲しい」
「別にいいけどよぉ、金は払ってくれるのか?」
「経費で落とせると思うから、忘れずに領収書を貰ってこい」
 冷遇されたチームだが、流石に任務での潜入の為に使った物なら経費で落としてくれるだろう……と思いたい。
「ドレスなんだか。そうだな……できる限り子供に見える物にしてくれ」
「子供にねぇ……確かにそういうご趣味らしいみたいだけどな」
 オレには理解できねぇーなと、プロシュートはタバコに火を付けた。換気の悪い部屋なんだから、ここで吸うなと抗議することはとっくの前に諦めていた。
「そうだ。できる限り子供に見えて、思わずひん剥いてやりたくなるような感じで頼む」
「おまっ、その言い方オッサンくさいぜ」
 失礼な言い方であったが、善処するとプロシュートは言い残して執務室から出ていったのであった。

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