101:『気づいた想いは止められない』


(※Twitter未公開)


すまないと切羽詰まった顔の総士に組み敷かれた。
こんな顔もするんだ、なんて貞操の危機に晒されているのに一騎は呑気に彼を見上げる。
拒むと言う選択肢は無い。
求め求められるのは、こんなにも幸福な事だと気付いてしまった。


「謝るなよ」

「一騎…」

「お前の好きにして良い、俺がそれを望んでるんだ」


今さらこの気持ちを止められはしないのだから…


102:『笑ってくれる?』


(※Twitter未公開:HAE)


見る事も触れる事も、存在を認識させてやる事さえ出来ない。
無意識下のクロッシングで伝わってくるのは、自分との約束だけを支えに今にも崩れそうな淋しさに必死に耐える痛み。
それらを隠しながら今日も儚く微笑む。

違うんだ。
そんな顔をさせたい訳じゃなかったのに…


一騎、どうすればお前は心から『笑ってくれる?』


103:『最初からやり直したい』


(※Twitter未公開:現パロで曖昧な関係の幼なじみ)


「終わりにしよう」


その言葉に自分達は付き合っていたんだと、一騎は今更に認識した。
名前の付かない酷くあやふやな関係。


「分かった」


と、言葉より先に湧く胸の痛みに一騎は落涙する。
それを見て「違う、そうじゃない、言葉が足りなかった」とかなり慌てたらしい総士は、


「幼なじみは終わりにして、僕に毎日お前の作る味噌汁を飲ませて欲しい。幸せにする、一騎」


跪いて手を取って訳の分からない突然のプロポーズ。
色々すっ飛ばされ過ぎて思わず、


「その告白、最初からやり直し!」


と言ってしまったのは絶対に悪くない。


104:『夢だったらよかったのに』


(※Twitter未公開・死ネタ)


命が蝕まれると分かっていて、大切な物を守るため戦えと残酷に告げた。
結果彼がここから居なくなるなんて、分かりきっていたのに…。


『夢だよ総士、そんなのは夢だ。もう苦しま無くて良い。俺を忘れて良いんだ』


優しく告げる声に飛び起きて、空っぽの隣に胸が詰まった。
彼がもうここに居ない事実に打ちのめされる。
一騎の居ない世界は、痛みと哀しみに溢れていた。


105:『僕の半分』


(※Twitter未公開)


「半分とは、つまりは二等分したものの一方。二分の一の数量や分量を示す値だ」


遠回しな総士の言葉に一騎は苦笑した。
元は一つの物が分かたれたのが半分、つまり…。
そっと総士の手に一騎は指を絡める。


「じゃあ、これで一つって事だろ?」


そう問えば、繋いだ手が引かれ温かな腕に閉じ込められた。


「いや、これで一つだ」


106:『そのセリフ、そっくりそのまま返す』

(※Twitter未公開)


心を捧げた。
身体を捧げた。
願いも、魂も、その全てを捧げた。
これ以上、もう何もなかった。


「なのに、お前はもっと深みまで落とそうとする。総士は俺をどうしたいんだよ…」


切な気に言い放つ一騎の目の奥で、『もっと奪え』と挑発する無意識な燐光がチラつく。


「一騎。そのセリフ、そっくりそのまま返してやる」


107:『好きなのにね』


(※Twitter未公開)


好意を告げる言葉を明確に口にした事は無かった。
言葉にしなくても、何と無く互いに分かっていたから必要性を感じない。
…なんて言うのはただの言い訳。


「一騎、」


いざ言葉にしようとすれば、いつだってそれは喉の奥で掻き消える。


「どうかしたのか、総士?」

「…いや、何でもない」


言わないんじゃない、言えないんだ。
口にする事さえ出来ない程に、この気持ちは深くて重い。


108:『もしかして誘ってる?』


(※Twitter未公開(Twitterでの真夏の昼下がりの人妻真壁(笑)まあ、旦那は皆城だよね!発言から…))


茹だるような暑さ、日差しは照り付け蝉の泣き声が鳴り響く。
伸びた髪を結わえ無防備に項が晒されていて、しどけなく畳に寝転がり滲む汗が一騎の肌を伝う。
白い手足は惜しげもなく薄着の着衣から晒されていた。


「一騎、もしかして誘ってるのか?」


揶揄を込めた冗談を総士は暑さにダラけ切っている様子の彼へ放つ。


「奪ってるんだ」

「奪う?何をだ?」

「総士の視線」


悪戯っ子みたいな顔で微笑まれた。
成る程、確かに釘付けだ。


109:『うそつき』


(※Twitter未公開(無印ED))


手の中で砕け散ってしまった欠片が風で空へ還った。
総士だったモノの気配がまだそこにある気がして、少しでも取り零さないように一騎は空を掴む。


(僕はここにいる)


耳に残るそれに切なく潰れそうな声が漏れる。


「嘘つき…」


あんなに傷付け合ってもそこにいたくせに、分かり合えた途端に砕けて消えてしまった。


110:『いっそ無理やりにでも。』


(※Twitter未公開(一総))


朝日に透ける総士の亜麻色の髪が、島の風に靡いて美しかった。
振り返った拍子に左頬に走る傷が見えて、一騎はそっと手を伸ばしかけて引っ込める。
どんなに望んでも彼は自分だけのモノにはなれない。
そう、ならないんじゃない。
なれないんだ。
分かっていた。幼い子供の頃から。
だからあの傷を見る度に彼に自分を刻んだ後ろ暗い喜びと、いっそ無理やりにでも連れ去ってしまいたい衝動に苛まれる。





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -