(※総一・ニヒザイ:一騎の体がザイン(捏造人格)に乗っ取られた設定)
『総士、キスして?』
妙な違和感に一騎の唇を避け、総士は『ソレ』が甘えてくるのを振り払う。
「お前、一騎じゃないな」
『なんだもうバレちゃった』
「誰だ、一騎はどうした?」
その問いに『ソレ』はクスクスと歪んだ笑みを浮かべ、
『誰って酷いな総士。あんなに熱心に俺の大事なニヒトを解体しようとしてる癖に…』
(※総一・ニヒザイ:総士の体がニヒト(捏造人格)に乗っ取られた設定)
『ソレ』は声も姿も確かに総士に見えた。しかし…
「誰だお前、総士じゃない…」
『なんだもう気付いたのか。で?だったらどうする』
「総士を返せ!」
『お前を「支配」させてくれるなら、考えてやっても良い』
冷たく見下され背筋が粟立つ。
例え罠だったとしても総士と引き替えならば、一騎は静かに頷いた。
『良い子だ一騎。さあ、おいで?』
(※『罠だったとしても』の続き:Twitter未使用)
意識は自分の中に沈んでいるのに、視界や感触は鮮明だった。
「一騎に触れるな!」
叫び抗うも自分の体は愛しい人を痛ぶり汚す行為を続けている。
「やめろ!ニヒト!」
『ソレ』の名を呼べば嘲笑う様な残酷な声が聞こえた。
『先に僕とザインをを封印し、解体しようとしてるお前達が悪いんだろ?これはその報いだ』
(※『これは報いだ』の続き)
「…僕は、何て事を…」
必死に抗い奪われた体を取り返した時には既に遅かった。
体に残る感触は『アレ』が自分の体で、一騎に何をしたのかを思い知らせる。
「一騎…」
気を失い床に転がり凌辱され尽くした痛々しい姿に、総士は嗚咽を噛み殺したけれど、頬には幾筋もの涙が伝って流れ落ちた。
(※補足、一騎が乗っ取られるより総士が乗っ取られる方が好評だったので都合上未公開だったものも合わせて3ツイート続きました♪)
「総士、俺をめちゃくちゃにして欲しいんだ」
一騎の目が優しくするなと…、酷く扱い罰を与えろと訴えていたが、聞いてやる気なんてない。
慈しみ甘やかし、大事に大事に触れてやる。
「ッ、総士!」
「何だ?僕にめちゃくちゃにして欲しいんじゃ無かったのか?」
「してないだろ…」
「してるさ、めちゃくちゃに…とびきり大切にしてる」
戦いに身を投じる以上どちらかが先にいなくなる可能性は常に付き纏う。
「俺、最後に聞くのは総士の声で、最後に口にするのは総士の名前が良いな」
「一騎…」
「そんな顔するなよ、ただの例え話なんだから」
本当は一緒に生きたいし、一緒に逝きたい。
そうなれば最後の言葉なんて、聞く必要も言う必要ないから。
一人で留守番は退屈で、洗濯でもと総士のベッドからシーツを拾い上げた。
フワッと布から香る総士の匂い。
胸の奥が焦がれて、出来心でそれを羽織ってみる。
「抱きしめられてるみたいだ」
「随分可愛い遊びをしているな」
「!?」
気付けば帰って来た総士に押し倒され、シーツには自分の香りを移す羽目になった。
アンティークの寝椅子に座り、上質なフリルとリボンのドレスに身を包む。
髪を梳かれ化粧を施し、レースの手袋に踵が繊細な靴まで履かされ、それでも一騎は身動き一つせず総士の好きな様にさせた。
「一騎、綺麗だ」
うっとりと陶酔した視線が注がれ、幸せそうなその様子に、今日も一騎は溺愛される人形になる。
(※補足、ピグマリオン・コンプレックス:狭義には人形偏愛症(人形愛)を意味する。広義では人を人形のように扱う性癖も意味する)
危機を共にした高揚感を恋愛感情だと誤認する。いわゆる吊橋効果だ。
「だから、きっとその気持ちは勘違いだ。総士」
「僕は全てのパイロットとクロッシングで危険を共有している。だが、こうしたいと思うのはお前だけだ」
強引に唇が重なる。
「観念しろ」
と低く囁かれ鼓動が跳ねた。
危険だと知りながらただ真っ逆さまに落ちてゆく。
「怒ってるのか?総士」
チラチラと一騎の視線を感じつつ、必死で気を引こうとする様が可愛くて、わざと目を逸らし続けた。
明らかにしょんぼりした空気が漂い少しやり過ぎたかと顔を上げると、ちゅっと可愛い音と共に唇を奪われる。
「こっち見ろよ、淋しいだろ…」
なんて反則だ。
視線所か全部持っていかれた。