こんな午後


※ルーク&←アンジェガイ?



「だから、俺は――……」


「ルークのバカ! 大っ嫌い!」


時々考える。


人は何故感情的になると、思ってもいない事を口走ってしまうのだろう。



***



グランコクマの綺麗な景色が涙で歪む。

何であんな事言ったんだろ。

冷静になれば、激しい自己嫌悪。

ルークの事、傷つけちゃったよね。


「はぁ……」

「また喧嘩かい?」


溜め息に返ってきた声に、私は(涙を拭った後で)顔を向けた。

隣に座るガイの姿が映る。


「そうよ。悪い?」

「悪くはないけど……」


一度顔を下向けたガイがにこっと笑った。


「俺なら君を泣かせたりしないのに」

「残念ね。私、ルーク以外興味ないから」

「分かってる。俺、昔からアンジェにふられまくってるからなぁ……」


苦笑を浮かべるガイに気まずくなる。

私は何とか笑みを向けた。


「ごめんね」

「いいよ。好きでいるのは俺の自由だし」


私だってガイの事好きなのは確かなんだけどね。

だけど、ごめんね。

私の一番にできなくて。


「ガイ!!」


ルークの大声は、周りにいた人達の視線が集めた。


「ちょっと、ルーク」


さっきまで喧嘩してて気まずい、って思うより早く声が出ていた。

今注目されている事が恥ずかしい……。

私は慌てて立ち上がった。

けど、ルークはそんな私に気づいていないみたい。


「ガイ、何でアンジェと一緒にいるんだよ!」

「お姫様が泣いていたのでね」

「……」


ガイの言葉にルークの顔が歪んだ。

泣くつもりはなかったのに。

また涙が浮かんできた。

早く謝りたい。



「「ごめん!」」



ぴったり重なった謝罪の言葉。

あまりにぴったりだったからかな。

ガイが吹き出した。


「お前ら、本っ当似てるな」


似てる……?

全然自覚ないんだけど。


「それだけヘコむんだったら、喧嘩しなきゃいいのにねぇ」


意地悪っぽく笑うガイが気になる。


「な、仲が良いからに決まってんだろ。な、アンジェ」

「え? あ、うん」


私達、さっきまで喧嘩してたよね?

っていう空気なんだけど……。

あ、謝ったんだっけ。


「あんまり泣かせると、俺が貰うからな」

「泣かせないって。それに、アンジェは渡さないからな!」


この人達から、離れたい。

何でこんな恥ずかしい事言うんだか。

ルーク、ガイに似てきてるよ。

私が保証してあげる。


「行くぞ、アンジェ」


いつもより少し強めに握られた手。

……ちょっと嬉しいかもしれない。

ほんわか幸せ気分に包まれた『こんな午後』の出来事。



up 2006/11/18
移動 2016/01/11



 

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