Snow Date


※クリスマス



ふわりふわり。


冷たい空気の中、舞う白い花。


その儚さ、美しさが君を飾る……。



***



一度失ったモノを取り戻してから、コレットは色々な感覚を楽しむようになった。



暑さ。


寒さ。


温もり。


冷たさ。


苦さ。


甘さ。



今日もそうなのだろう。

普段着のまま雪の中に立っていた。

嬉しそうに笑みを浮かべながら。

この白い世界が彼女の為に作られたのかと思わせる程に、綺麗だった。


「コレット」


流石にこのまま放っておいたら、風邪をひいてしまう。

暫く眺めた光景を焼きつけるように、強く目を閉じた後で声をかけた。


「あ、ディオ〜。雪、綺麗だね〜」

「はいはい。分かったから、これ着て」


半ば強引にコートを着せる。


「風邪をひいたら、外で雪と遊べないだろ」

「大丈夫。風邪ひく前に遊び尽くすから!」


にこにこと笑うコレットにディオは苦笑を浮かべた。


「風邪はひかない方がいい。少しあったかくして、遊べばいいだけなんだから」

「あはは。そうだね〜」


白い花が金色に輝く髪に咲く。

手を伸ばしてソレに触れれば、雫になって転がった。


「ん? どしたの、ディオ」

「何でもナイ」

「そう?」


コレットは足下の雪を手にとって、ディオにぶつけた。

小さな衝撃と飛び散る雪。


「雪合戦しよ」

「……二人で?」

「うん。二人っきりで」


ほんの少し強調して。

二つ目の雪だまを作り始めた。


「……分かった」


何だかんだで、結局彼女に付き合ってしまう。

それは、まだ気づかぬ恋心か……。


「ぼーっとして、私に勝てる程……甘くないよっ」


飛んできた雪だまを軽く避ける。

コレットは何度か投げるが、ディオは全て避けた。


「あれ? 何で当たらないの?」

「何でだろうな」


ふんわりと投げたディオの雪だまがコレットの頭に命中した。


「ふみゅっ」


白い帽子を被ったコレットに睨まれた。

それも可愛いだけなのだが。


「もう絶対当たってあげないっ!」


張り切るコレットのペースに流され、いつの間にか汗をかく程ディオは走り回っていた。


「暑い〜……」

「早く汗拭かないと、体冷えるぞ」

「ディオって、何だかお父さんみたいだね」

「……」


何の言葉も出てこなかった。



(せめて、お兄さんにして欲しい)



ようやく心に浮かんだ言葉。

それも違うだろう、と言いたい。


「コレット、部屋に戻ろう」

「うん」


雪遊びに満足したのか、すぐに頷いた。


「ディオ」

「ん?」

「また一緒に遊ぼうね」


“お願い”を含んだ顔でディオを見上げる。

ディオは少し考えた後で答えた。

きっと彼女が微笑むような言葉を。



up 2006/12/25
移動 2016/01/10



 

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