no problem!!


「おはよ、ブラック☆スター」

「……」


背後の気配に声をかけ、振り返れば、普段あまり見ない複雑そうな顔に出会った。

その顔はすぐにいつもの顔に変わる。


「そうか! さすが、俺のオーラ! アンジェにまで気づかれるとは。このまま更にビッグになってやるぜー!!」


騒音だ。

アンジェは溜め息一つ、自分の鞄を彼の頭に乗せた。

ごつんと音がする。

小さな辞書と水筒が入ってたっけ、と後から思い出した。


「アンジェ」

「ごめんごめん。椿ちゃんは?」

「マカと話す事があるって、先に行った」

「フられたんだ。痛っ!」


今度はアンジェの頭にブラック☆スターの拳。

結構痛かった。

これでも、手加減してくれているだろうが。


「アンジェ、顔色悪くねぇか?」

「そう? 朝食抜いたからかなぁ……」

「寝坊して目立とうとした、って感じでもねぇのに、どうした?」

「ちょっと、太っちゃってね。控えてみただけ」


ブラック☆スターは、アンジェを二、三度見た。

そして、不思議そうに首を傾げた。


「太ったか? 全然変わんねーだろ」

「一キロは、おっきいって」


ブラック☆スターは、暫く考えてアンジェの体を持ち上げた。

いわゆる『お姫様抱っこ』だ。


「ちょっと何!?」

「全然重くないぞ? 俺様みたいにビッグになりたいのなら、もっと食え」


ははははは、といつものように笑う。


「分かった。分かったから、降ろして! すっごく恥ずかしいから!」

「ん? 恥ずかしい?」


またまた暫く考えて、ブラック☆スターは、にやりと笑った。

嫌な予感がする。

それは勿論気のせいではない。


「このまま、教室入ったら、目立てるよな」

「……はい?」

「よーっし、行くぜー!!」

「ちょ、待っ……あたしは目立ちたくないから、一人で勝手にしてー!!」


アンジェを抱いたまま、ブラック☆スターは走り出した。

それはもう、彼のご機嫌が最高潮に達する程、目立つ朝だったとか。



up 2008/09/09
移動 2016/01/27


 

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