「レッドフォース社と提携？！」


「ああ、実は前々からあがってた話なんだが、あっちの社長が帰国してすぐ本格的に決まったよい」


「なんで、」


「さあな、おれも詳しくは知らねえ。
そうだ....主におまえが仲介人をすることになるよい」


「はあ？」


「赤髪の強い希望らしいよい。
大丈夫か？」


「....私に拒否権なんて無いくせに」


「まあな。頼んだよい」









いきなりの大ニュースに社内はその話題で持ちきり。
最近よくレッドフォースの社員らしき人間をこの近辺で見かけたのはこれだからか。
エースは遠目に見てもピリピリしてるのが分かるし..

ナマエは眉間を押さえながらデスクに戻りPCを開いた。
いつも通り大量のメールに目を通していると、社用アドレスに見覚えのないアドレスから画像添付メールが来ていた。




《一週間待った。...おれの負けだ。
今夜、21時にロジャースで待つ。》




画像を開けば、見覚えのある部屋で真っ白なシーツにくるまり眠る自分の寝顔。
名前こそ載っていないが、そんなのは考えなくてもわかる。

ナマエはちらりとエースの方を見やるが、
素早くy e sのキーを打った。






















学生時代の友人と会う程でエースを説得し、
待ち合わせ場所に向かった。


会社から車を30分走らせた距離にある、
ロジャースという知る人ぞ知る、という雰囲気のこじんまりしたバーだ。

私とシャンクスが 初めて会った場所。












「いらっしゃい......驚いたな、ナマエちゃんじゃねえか！」



「マスター...！お久しぶりね」



「綺麗になったなぁ、どこの女神かと思ったぜ」



「相変わらずお上手ね」




いつも座っていたカウンター席に座る。
店内は昔とさして変わらないが、ダーツあるテーブル席には若者が集い、少しガヤガヤしていた。



「悪いね、騒がしくてよ」



「いいのよ。繁盛してるようでなによりね」



「おかげさまで。
いつものでいいか？」



「ええ、お願い」





すぐに出てたオリーブ二つのマティーニ。
マスターと軽く乾杯して喉に流し込む。
少し談笑するも、すぐに他の客からの注文が入り、残念そうに席を外した。




懐かしい、この景色。
仕事帰りはよくシャンクスとここに来ていたわね。
時には2人仕事のことで話し込んだり、
泥酔してダーツで勝負したり、
たまにはマルコやベンを連れてみんなで一緒に飲み明かしたり。

最後に二人で来たのはいつだったろうか。







「悪い、待たせたか？」



「....いいえ、今来たところ」






シャンクスはマスターに注文しながら、
ナマエの隣に座った。




「懐かしいな、おまえとここに座るの」


「そうね、」


「来てくれて嬉しいよ」


「.....気まぐれよ」


「ははは、おまえらしいな」






シャンクスが頼んだお酒が来て、二人でかちんとグラスをぶつける。
マスターが気を利かせたのか、音楽はゆったりとしたジャズに変わっていた。





「ねえ、そうよ、うちと提携するってどういうことなの？しかもわたしが仲介役だなんて」


「なに、前から考えていたことさ。それに仲介役っつったって大して仕事は増えねえから安心しろよ」


「はぁ....主に何をすればいいの？」


「うちとそっちが打ち合わせする時に、同席してくれればいい。
あと.......こうやっておれと会ってくれ」


「...じゃあ、これは仕事なのね？」


「そのほうが、あの熱血坊やを欺けるだろう？」


「......全く、どうしようもない社長ね」







暫く酒を飲み、良い感じに酔いがまわる。
シャンクスはわざとなのか相変わらずなのか、あまり酒は進まず酔ったナマエを微笑ましく横目で眺めていた。





「相変わらず、お酒が弱いわね？お兄さん」


「相変わらず酒豪だな」


「そんなことないわ」


「 はは。
さて、そろそろ出ようか」


「えー。まだ飲み足りないわよ」


「これから好きなだけ飲めば良い」


「二軒目は何処に？」



「なんでも飲み放題食べ放題、素敵な空間に絶景の夜景、そして、朝のキスと送りが着く最高の場所を知ってるんだが、」


「......それって、」


「さてどうする？お嬢さん」


「......」

















「ごちそうさま、マスター」



にこやかに手を振るマスターに笑いかけ
からんと店のベルが鳴らす。
店を出て行った二人の手は、しっかりと繋がれていた。








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