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はあ、すっかり忘れていたが今日はドフラミンゴに契約を取りにいく日だった。

ナマエはだるい体に鞭打って契約書を作り、夕方には車を走らせ一人ドンキホーテ社へと向かった。



「フフフ....!よく来たなァ、ナマエチャン」


まあ座れ、と連れて来られたのは会議室ではない、社長室のソファ。
部下の人が紅茶と茶菓子を持ってきてくれたので軽く礼を言う。



「契約書を持ってきました」


「あァ、そういやそうだったなァ」


「そういやって、あなたなんで私が来たと思ってるのよ」


「おれに抱かれに」


「契約は破棄ということでよろしくて?」


「フフフ...!ほら、寄越せ」



ドフラミンゴはナマエの差し出した契約書にさっと目を通すと、それだけで署名欄に署名をし、会社員と代表印を押して寄越した。


「ちょっと..!
しっかり読みなさいよ」


「読んだ読んだ。なあナマエチャン、夕飯は何処行きたい?」


「ハァ.......もうどこでもいいわよ」


「ならパークハイアットのスイートをとってある。そこのレストランでいいなァ」


「はい?」


「パークハイアットホテルのプレジデンシャルスイート」


「じゃなくて。
なんでホテルなんかとってるわけ?」


「明日は土曜だ。休みだろ?ならたまにはゆっくりしようぜ」


「なんであなたと...」


「予定ないんだろ?」


「ない、けど..」


「フフフ...!じゃあいいじゃねェか、行こうぜ」


結局ナマエはドフラミンゴに連れられリムジンに乗せられ、ドンキホーテ社を後にした。



「....着替えがないわ」


「もう部屋に用意させてあるぜ」


「.....契約書出さないと」


「お前んとこの社長に連絡入れといた」


「.....あなたには敵わないわ」


「フッフッフ....!当たり前ェだろ」


ナマエは渡されたシャンパンを味わいながら窓からの景色を眺め、暫く走ったところでホテルに着いた。


「お帰りなさいませ、ドンキホーテ様」


車を降りればずらりと並んだホテルマンとオーナー直々にお迎えがあり、ナマエは自分がスーツだということを思い出し恥ずかしくなる。


「よう、オーナーサン。
部屋まで案内してくれるか?

あと20時までに屋上のレストランを貸し切ってくれ」




「承知致しました。どうぞこちらへ」



オーナー直々の案内で最上階のプレジデンシャルスイートルームまで案内される。

幾度かドフラミンゴと来たことはあるが、やはり中はまさに豪華絢爛で、クローゼットの中にはこれでもかという程服やらアクセサリーやらが運び込まれていた。


ヴィトンにエルメス、シャネルにティファニー。
世の女性なら喉から手が出るほど欲しいものが宝箱のようにクローゼットに詰め込まれていた。







「ねえ、やりすぎ」


「フフフ...!お姫様はお気に召さねェか?全部お前の家に運ばせる」


「....ありがたく頂くわ」



ナマエはレストランに行くためその中から一着ワインレッドのドレスを選び、それに会うようにメイクやヘアセットをしてドレスアップした。


屋上にあるレストランは東京を一望でき、まるでいま東京で一番高い場所にいるように錯覚できる。

料理の味も一流で、思わず感激の溜息をついてしまうほどだ。
食後にはシャンパンを。ドルチェのアイスを食べながら頂く。


一例に並んだホテルマン達が最初は気になったが、最後にはそんなの全く忘れてしまうくらいに最上級のひと時を過ごした。







「何から何までありがとう、ドフィ。とっても素敵だったわ」


「フフフ...!気にいったならなによりだ。さあ、部屋に戻ろうぜ。おれはまだドルチェを頂いてないもんでなァ」


ホテルマン達もいるのにやめなさい、とナマエに怒られつつも、ドフラミンゴは至極楽しそうに笑い二人は屋上を後にした。




ちゃぷん、
薔薇の散らされたバルコニーのジャグジーには薔薇を救うナマエと、それを後ろから抱き締めるドフラミンゴがいた。


「このローズバスも久しぶり」


「お前がおれの連絡を無視しやがるからだろ」


「だって忙しかったのよ。新しい会社で」



適当にアップにされたナマエの髪の香りを楽しみながら、晒された白いうなじに幾つかキスを落とす




「なあナマエチャン、いつになったらおれの女になってくれんだ?」


「....さあ、いつかしらね」


「長いぜ?おれの片思い。
お前があいつと付き合う前からだから、もう三年か」


「.....彼とも、よくこうやって一緒にバスタブにつかって遊んだわ」


「お前まだ引きずってんのかァ?
.....第一捨てたのはお前だろ」


「そう、ね...」



再度に置かれている花びらがはいった器から掬い、手元のシャンパングラスに浮かべる。


「はいドフィ、私の愛が詰まったシャンパンよ」


「フッフッフ...!そう言われちゃあ飲むしかねェな」



喉を鳴らし、花びらごと
すう、っとそれを流し込んだ。


「...今は仕事に打ち込みたいの」


「....無理強いは意味がねェ。待つぜ」


「.....ありがとう」


逆上せそうだ、とナマエを抱き上げる。
バスタオルで適当に拭い、ナマエを包み部屋に入ってベッドに落とした。




「なぜかわからないけど、今すごく貴方に抱かれたい」


「そりゃ奇遇だな、おれもお前をめちゃくちゃに抱いてやりてェ」


サイドテーブルにかちゃりとサングラスを置く音が聞こえたら、それが合図。
二人の唇は引き寄せられるようにして重なった。




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_13/30
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