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今朝は妙に目覚めが良かった。
天気もいいし、気分もいい。
昨夜エースと夜中まで飲んだのに二日酔いはしてないし、ラッキーだ。

ナマエは洗顔し歯磨きをしながらテレビをつける。

広過ぎる部屋。
某高級タワーマンションの最上階。
しかも持ち家。
勿論ナマエが買ったわけじゃなく、プレゼントされたものだ。
前の男から。

別れた後もそのまま貰ってくれと言われ、新しい物件を探すのも面倒なのでここに住み続けている。

週二回来るハウスキーパーに忙しいを理由に苦手な家事は任せている。


ガラス張りのバスルームの東京が一望できるジャグジー付きのバスタブは滅多に湯を張らない。
ここを泡まみれにしてふざけ合った日が懐かしい。

ナマエはふと思い出したあの笑顔を、シャワーを頭から被り洗い流した。





「おはようマルコ」


「よい。昨日のクロージングどうだった?」


「ああ、契約に繋がったわ。明日契約書を持ってまた行くの」


「そりゃよかった。
エースは役に立ったかよい」


「ええ。とても助かったわ。其の後二人でディナーしてバーに行ったの」


「.....お前、」


「何よその目。なにもしてないわよ、失礼ね」


「...ならいいよい。
じゃあ頼んだぞ」



朝から失礼なマルコはさておき、デスクに座りPCを起動させると同時に携帯が鳴った。

「はあ、また...」


メールの相手はいつの間に連絡先を交換したのか、ここ最近しつこくメールを送りつけてくるトラファルガー部長。


《最近どうだ》だの《いつ暇だ》
だの短いメールをちょくちょくと。
貴方部長なんだからメールなんかしてないで仕事しなさいよ、と言いたい。


でも一応部長だから短い返信をしていた。


小さく溜息をつきながらメールを開く。




《今夜20時に駐車場で》




その一行にナマエはもっと深い溜息をつく。

なんて返そう。
どうしたら怪しまれず断れるだろう。
と考えてると続けてバイブの振動が響いた。




《拒否権はねえ。20時だ》



考えてることがなぜわかったのか。
ナマエは疑問を抱きつつも短くyesの返事を送った。
嗚呼、今夜はトラファルガー部長で明日はドフラミンゴ。
なんてついてないの。
ナマエは軽く頭を抱えながらもPCに向き合った。


ーーー



19時50分。
言われたとおり駐車場に向かっていると、後ろから声がかけられた。





「あら、エース。お疲れ様」


「おつかれさん。
あのさ、ナマエこの後暇か?いつもナマエの行きつけだから今日はおれがよく行く店に連れて行きたくてよ。まあ、ただのラーメン屋なんだけど」


「ラーメン?私ラーメン好きよ。でもねエース今日は..」


「悪いなポートガス。今日はおれが先約済みだ」


後ろから聞こえた声に振り返れば、黒のスーツを緩く着こなしたトラファルガー部長。


「ごめんなさいエース、今日はちょっと都合が悪くて....月曜日とかなら大丈夫よ」


「あ、ああ.....そうか、わかった。じゃあ月曜、な」


じゃあ、気をつけろよ。
と去っていくエース。


「意地悪な言い方しないであげてよ」


「うるせェ。ほら行くぞ」


手を引かれ連れて行かれたのは一台の車の前。
嫌味なほどに黒光る高級車は恐らく彼の車だろう。
だがナマエは自分の車で来ているから、と言えば明日も朝送ってやる。と言われ強引に車に乗せられた。



「どこ行くの?」


「ストリップクラブ」


「降ろして」


「冗談だ。
そうだな、メキシコ料理は食ったことあるか?」


「メキシコ料理、はあんまりないかも」


「そうか、じゃあメキシコ料理にするか」


暫く車を走らせついたのは一件の料理屋。
中に入るとメキシコカラーでいかにもメキシコ料理屋です、という内装だった。





「なんだかお洒落ね」


「ここの飯はうまい」


会話してるうちに運ばれてくる料理。どれも普段見ない料理ばかりでナマエはわくわくしながら手をつける。


「美味しい!」


「だろ。チラキーレスだ」


「すごい。初めて食べるものばっかり。でもどれも美味しいわ」


「ここは酒にも力を入れてるから食い終わったら酒も飲める」


「へえ、いいわねそれ」


「潰れてもしっかり連れて帰ってやるから安心しろ」


「全く信用できないわ」





その後たらふく料理を堪能し、テキーラサブマリンにはまったナマエはすっかり酔っ払い、23時ごろシラフのローに支えられながら店を出た。




「いくらなんでも飲み過ぎだ、馬鹿」


「ん、もー帰る..」


「家どこだよ」


「んー...」


「チッ..」



夢の世界に半分足を突っ込んでるナマエに、ローはナマエの財布を漁り免許証に書いてある住所に車を走らせた。









「....でけェな」


そそり立つタワーマンションに圧倒されるロー。
ナマエを抱え、エントランスでナマエのカードキーを使って中に入る。


「しかも最上階かよ」


カードキーで部屋に入り、寝室を探す。たどり着いたベッドルームに置かれた馬鹿でかいベッドに靴と上着を脱がせたナマエを寝かせる。

ナマエはすっかり寝入ってしまい、無防備過ぎる彼女にローは小さく溜息をついた。


リビングダイニングルームは東京の夜景を一望出来、品よくコーディネートされたインテリアはシックな黒基調だ。

ローはネクタイを緩め、バスルームを借りようとパウダールームへ向かう。そこはまた全面ガラス張りで、どんな趣味だ、と若干戸惑う。



シャワーを浴び、ベッドルームへ戻ると変わらずすやすや眠るナマエの姿。

少し開いた形のいい唇からは可愛らしい寝息が聞こえる。


「....化粧落とさねェと肌荒れるぞ」


滲んだアイラインを親指で撫でれば、ぴくりと反応するナマエの体。
だが起きる気配はなく、変わらず深い夢の中だ。

そんな彼女の唇に小さく口付けを落とし、彼女を腕に閉じ込めながら目を閉じた。



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