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Nobody's know *







「もう最っ低!今すぐ出て行くわ!」

「痛ェ!おいちょっと待て、誤解だ!」

「こんなにべっとりキスマークつけて何処が誤解なのよ!離して!ベン!助けて!!」




早朝から船に響き渡る怒号にクルー達は飛び起きた。治る気配のないそれにベックマンは仕方なく騒ぎの元である船長室を訪れた。
扉を開ければ荷物をまとめ出て行こうとするナマエを必死に止めるシャンクス。


「一体何事だ、朝っぱらから大騒ぎして..」

「ああベン!!この最低男を引き離して!」

「ベック下がってろ、ただの痴話喧嘩さ」

「何処がよ!
ベン、見てこのキスマーク!」

「お頭、アンタ...」

「だーかーらー誤解だ!
昨日酒場で酔っぱらったメリッサが..」

「メリッサって誰よ!」

「酒場の女だ!
それが酔っ払って付けてきただけで、なんもしちゃいねェ!」

「信じられない。
とにかく暫く出て行くわ」

「何処へ行くってんだ、もう出航して海の上だぞ」

「あなたの顔が見えないところ!
行きましょう、ベン」



ベックマンを連れ部屋を出たナマエは荷物を抱えたままずかずかと廊下を歩いた。
シャンクスとナマエは同じ部屋だった為ナマエの個室はない。


「それで.....おれの部屋に家出か?」


ふう、と煙草の煙を吐き出すベックマン。
ナマエは我が物顔で彼の部屋のソファに座り彼秘蔵のラム酒でやけ酒をしていた。


「仕方ないじゃない、海の上なんだもの..」

「おれはあの人は女を抱いてねェと思うが...」

「....もう嫌、私の事は酒場にも連れて行ってくれないのに」

「そりゃお頭はお前が大切だからだろう、愛されてる証拠さ」

「そのくせ自分はしょっちゅう私を置いて飲みに行って女の子にちやほやされて...!
抱いてるか抱いてないかだってわからないじゃない」

「それなら...次の島では飲みに行けばいい。
たまには息抜きに出かけるのも必要だ」

「...シャンクスが許す訳ないわ」

「....だったら、抜け出せばいい」

ベックマンはナマエの耳元でそう囁いた。ナマエはいきなり感じたその色気のある声にびくりと肩を揺らす。


「....あなたが協力してくれるの?」

「ああ、いいだろう。
たまには自由な時間が必要だ」

「本当!
ベン.....約束してくれる?」

「ああ、約束だ」


ソファの肘掛に腰掛けるベックマンに抱き着き、彼もその頭をポンポンと撫でる。
やわらかなウェーブを描くさらさらのプラチナヘアーは思わず深呼吸したくなるほど芳しい。
ふてくされたように突き出した唇は、食べごろの果実のよう。


「...お頭に嫌気がさしたらいつだって大歓迎さ」

「もう....あなたって本当にいい人ね
シャンクスも少しは見習ってほしいわ」

「まあな、さあ そろそろ探しに来るぞ」

「覇気でわかる?...じゃあ、仕返しするわ」

「?、」


ナマエは首に回した腕でそのままベックマンを引き寄せソファに押し倒す。
硬い腹筋の上に跨り、
その黒いVネックから覗く胸板に唇を落とした。
鎖骨に、首筋。
皮膚を吸うように跡を付けていく。
されるがままのベックマンも、身体に感じるナマエのやわらかい感触に否が応でも反応してしまう。


「オイ、ナマエ..」

「黙って、そろそろよ....」



ナマエはベックマンの手を取り自らのスカートの裾から覗く太ももに置く。
その瞬間、扉が勢いよく開かれた。
すぐにピリピリと飛ばされる強い覇気。
顔を上げれば、恐ろしい顔をしたシャンクスと目が合った。


「おまえら.....一体何をしてる」

「....酔っ払ってキスマークを付けちゃったの」


負けじと睨み返せばズカズカと部屋に入り込んだシャンクス。
ハァ、とため息を吐くベックマン。


「冗談にしては笑えねェな..」

「そう?傑作だと思うけど」

「...ベック、手を避けろ。ナマエの画策だとしても腹が立って仕方ねェ」


はっとしたようにベックマンは白い太ももから手を退けた。ついそのまま触れてしまっていた。


「気は済んだか?
家出は終わりだ、来い」

「いいえまだよ。
ねえベン、キスして。深く、溶けそうなくらい情熱的なのを..」

「....」

ベックマンに顔を近づけたところで、ふわりと身体が浮きシャンクスに抱えられた。


「惜しかったわ...残念」

「おまえ、わざとおれを怒らせてるのか?
酷くされるのが好きなら初めからそう言え」

「...ベン!約束よ」


抱えられたままベックマンに視線を送る。
部屋を出て行った二人を見送り、
ベックマンはソファに横になったままナマエが口付けていた首筋を指でなぞった。








「酷い、こんなの..」

言葉通り"酷く"されたナマエはすっかり正気を失っていた。
本当に、この男は鬼だと、
怒らせたことを何度後悔したことか。

「最高にエロいぞ、その姿は 」

「....こんな格好、あんまりよ..」


また涙を溜めるナマエは両腕をベッドに縛られ、脚も開くように固定されている。
勿論全裸で。
このまま散々犯され、それでもなおそのままの格好から解放されなかった。


「そうだ、ベックマンを呼ぼう」

「は?」

「キスしたがってたろ、深く...溶けるような..だったか」

「冗談よ!」

「いや、本当にしたそうだったぞ。
ベックも満更でもなさそうだったし...よし」

「ねえ嘘でしょ?嫌、シャンクスやめて!こんな格好..!」

「見られたら恥ずかしい、ってか?」


そう言ったシャンクスの顔は、口は笑っていても、その目は鋭く、ちっとも笑っていない。
ベッドに腰を下ろしたシャンクスは白い膝を指でなぞる。


「シャンクス、ねぇ...」

「そうだな、こんな格好恥ずかしいよなぁ。
全部丸見えだ...ホラ、おれの出したもんが溢れちまってる」

「ちょ、辞めて...」

「また濡れてきてるな、どうした
ベックに見られたらを考えて興奮したか?」

「そんな訳...!」

「気に食わねェな....
おまえはおれの女だろう?ナマエ」

「そうよ!...だからこんなことやめて」

「辞めて欲しいか?じゃあ教えてくれ。
約束ってのは、なんだ?」

「!それは、今度...その、あの秘蔵のラム酒を私にも買ってきてほしいと頼んだの。とっても美味しいから...」

「....」

「....私がお酒に目がないの知ってるでしょう」

「....そんなもの。おれがいくらでも買ってやる」

「....そう、ありがとう」

「腕、悪い。痛かっただろう」


やっと縄を外すシャンクス。
ナマエはほっと胸を撫で下ろしシーツを纏った。
シャンクスもすぐに寄り添い、体液で汚れた体を清めるように濡れた布で拭いていく。


「なあ....キスマークの事も悪かった。
たかがって思ったが、嫌なもんだ」

「....分かってくれた?」

「ああ...すまない」

「...なら、許すわ」

「....思い出すだけで腹が立つ」

「ちょっと!もう嫌よ」

「分かってる....ああ、クソ」

「ベンには悪いことしちゃったわ、また巻き込んで..」

「今その名前を出すな」






そんなシャンクスの思いとは裏腹に、
ベックマンとナマエ、二人の"約束"は近々果たされる事となる。





Nobody's know
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